<フィギュアスケート>浅田真央はまだ進化できる!
感動的なフィナーレだった。表彰式を終えると、浅田真央は、自身、世界選手権では3つ目となる金メダルを佐藤信夫コーチに首にかけた。「本当はオリンピックでこうしたかったけど、できなかったので」は本音だろうが、SPで歴代最高得点を叩きだし、フリーでも、そのトップを守りきって集大成と位置づけたシーズンを終えた浅田には、満足感が漂っていた。 フリーでは、小さなミスはいくつかあった。最初のトリプルアクセルが回転不足とみなされ、3回転ループに続くコンビネーションで冒頭の3回転フリップも回転不足と判定された。3回転ルッツには不正なエッジのeマークがついた。 元全日本2位で、評論家として活躍中の中庭健介氏は、「非常に今回のジャッジは厳しかった。結果的に3つが回転不足とされたが、私は五輪から、さらに成長を感じました」という。中庭氏が指摘する成長点は、ジャンプとジャンプの間にある“つなぎの滑り”だ。 「厳しく見れば、これまではジャンプだけがドスン、ドスンと独立してしまって、流れやつなぎが物足りませんでしたが、今回は、その部分ができていました。着氷後の流れですね。演技後半の3回転のコンビネーションもうまくなっていました。トリプルアクセルは、浅田選手にしかできないわけですし、こういう部分が上乗せされれば、この先、どう進化していくかが楽しみです」 現在、浅田真央の、その進退に注目が集まっている。今後については「終わったばかりなので何とも言えないです。じっくり考えたいと思います」と明言は避けた。だが、現役続行の可能性を「ハーフハーフ」と語るなど、ハッキリと引退を明らかにしているわけでもない。「体はまだまだいける。(重視するのは)自分の気持ちです」という。 それらを踏まえたうえで中庭氏は、現役続行を支持する。 「これは浅田選手の心の問題ですが、私個人の意見としては、まだ完成されていない浅田選手のスケートを4年後に完成して欲しいと思います。4年後に27歳です。コストナー選手も、その年齢で現役を続け、まだ進化しています。浅田選手はまだまだ進化しますよ。そう考えると浅田選手も言っているように肉体的には大丈夫でしょう。問題はメンタルです。1年なら1年。スケートから完全に離れて、一度、“休養”するという形を取ればどうでしょうか。モーグルの上村愛子さんも、一度、引退という形で休養しました。そういう時間を作れば、やりたい、滑りたいという気持ちが内側から出てくるのではないでしょうかね?」