中国輸出、5月は予想上回る伸び-新たな関税の脅威も勢い続くか
(ブルームバーグ): 中国の輸出が5月に予想を上回る伸びを示した。新たな関税の脅威にさらされながらも、中国経済は海外市場をてこに勢いを維持できるとの期待を高めた。
税関総署が7日発表した5月の輸出はドルベースで前年同月比7.6%増加。エコノミスト予想中央値は5.7%増、4月は1.5%増えていた。
一方、輸入は前年同月比1.8%増。予想は4.3%増加だった。貿易黒字は826億ドル(約12兆8700億円)となった。
不動産不況で家計部門に出費を抑える動きが出ており、政府は個人消費の低迷を補うため、輸出頼みを強めている。堅調な外需を背景に、5月の貿易統計はこうした戦略が奏功しつつあることを示唆。他のアジア諸国を見ても、半導体をけん引役に、韓国の輸出は5月に約2年ぶりの高水準を記録した。
ジョーンズ・ラング・ラサールの大中華圏担当チーフエコノミスト、龐溟氏は「中国の競争力が高い製品はグローバル市場でより大きなシェアを占めている」と指摘。ドル高や輸出企業による値下げにも助けられ、この勢いは今後も続きそうだとの見方を示す。
だが、中国企業は特有の障害にも直面しており、輸出をてこに成長を維持することは難しくなる可能性がある。例えば、電気自動車(EV)などを巡っては、米国や欧州連合(EU)が貿易障壁を設けつつある。
中国の自動車輸出はまだ打撃を受けていない。7日発表されたデータでは、5月の海外販売額は過去2番目に高く、4月の107億ドルから微減にとどまった。しかし、大規模な欧州市場へのアクセスは難しくなりそうで、来月には中国製EVへの新たな関税も見込まれる。
今のところ、中国の輸出企業は関税の回避に向け、「引き続き出荷を前倒ししたり、第三国経由の輸出に切り替えたりしている」と龐氏は語る。
海外に活路
住宅バブルの崩壊で建設業は停滞している。内需低迷は国内顧客を失った鉄鋼などを含め、海外に市場を求めるよう多くの中国メーカーに促すことになった。