離婚します。子どもが2人いるのですが、養育費はどのように計算しますか?書面に残すべきですか?
A子さんは近々夫と離婚します。子どもが2人いて親権はA子さんが取るため、養育費について話し合うことになりました。A子さんも夫も会社員です。養育費はどのように計算するのか、口約束ではなく書面で残しておくべきなのか、知りたいということで相談にいらっしゃいました。
養育費とは?
養育費とは、子どもが社会的・経済的に自立するまでの間に、子どもの生活や教育に必要となる費用であり、衣食住に必要な経費・教育費・医療費のほか、常識の範囲で必要と考えられるおこづかいやおもちゃ代なども含まれます。 夫婦が離婚して母親が親権を取ったとしても、父親が子どもの親であることに変わりはありません。そのため、子どもと離れて暮らす父親にも養育費を支払い続ける必要があるのです。
養育費の決め方
A子さん夫婦が新しい生活をスムーズに始め、子どもたちが健やかに成長していくためにも、養育費の金額や支払期間、支払方法などはできるだけ離婚の前にしっかり決めておきましょう。 (1)金額 養育費の金額は、基本的には双方の収入などに応じて、夫婦で話し合って決めます。目安としては裁判所が公表している「算定表」(※1)を参考にするとよいでしょう。 「算定表」では子どもの人数と年齢(0~14歳または15歳以上)、夫婦双方の収入によって、目安となる養育費の金額が示されています。A子さん夫婦には14歳以下の子どもが2人います。夫は年収600万円、A子さんは年収300万円とすると、養育費の目安は月6~8万円です(※2)。 ただし、この金額は一般的に必要と考えられる金額で設定されているので、私立学校へ進学する場合にかかる費用などは考慮されていません。養育費は個別具体的な状況に応じて決められるものであり、双方が納得すれば増額は可能です。子どもの教育に関して希望がある場合などは話し合って決めましょう。 また、算定表でも子どもが「0~14歳」より「15歳以上」のほうが高額に設定されているのですが、子どもが成長すれば教育費などが多くかかるようになります。子どもの成長に応じて養育費を増額してもらえるよう、交渉してもよいでしょう。 (2)支払期間 養育費の支払期間は、離婚した直後から子どもが社会的・経済的に独立するまでです。子どもが成人したら、すなわち18歳になったら支払わなくてよいという考えもありますが、大学や専門学校に進学する場合、在学期間は自分で働いて収入を得ることが難しいため、卒業まで養育費を支払うことも多いようです。 文部科学省の「令和5年度学校基本統計(学校基本調査の結果)」によれば、令和5年に高校を卒業した学生のうち、約8割が大学や専門学校に進路を決めています(※3)。大学等に進学した場合の養育費についても、最初に話し合って取り決めておくのがよいでしょう。 (3)支払方法 一般に、養育費は毎月、銀行振込で支払われることが多いようですが、話し合いで双方が納得すれば、まとまった金額で支払ってもらうこともできます。養育費の月額と支払時期(毎月末までなど)、振込先の銀行口座をしっかり決めておきましょう。