柳家小太郎が『銭湯の節』で浪花節を唸る『第10回 ぴあ寄席』レポート
10月12日(土) 東京・らくごカフェにて『第10回 ぴあ寄席』が開催された。 『ぴあ寄席』は、演芸写真家・橘蓮二が注目する新進気鋭の芸人を紹介するプログラムで、第10回は二ツ目の柳家小太郎が登場。新作落語と古典落語をそれぞれ一席ずつ披露した。 【全ての画像】『第10回 ぴあ寄席』の模様 橘さんからの紹介を受けて小太郎さんが高座に上がると、マクラでは橘さんとの出会いや出身地の静岡県のこと、そして自分のおばあちゃんのことについて、時折毒気を漂わせながら語ると早くも会場からは笑いが起こった。 雰囲気が温まってきたところで一席目にかけたのは『銭湯の節』。柳家喬太郎師匠が浪曲を意識して創作したという新作落語で、『柳家の一族』という喬太郎師匠をトリビュートした落語会で披露するため、師匠直々に教わった噺だ。おばあちゃん思いの孫娘が、祖母が昔好きだったという浪曲を覚えて披露するという心温まる物語だが、途中挟まれる下手くそな『芝浜』のくだりや浪花節を唸る場面では爆笑をさらい、しっかりと自分の噺にしていた。 仲入りを挟んで再び話始めると、地元島田での思い出から学校への登下校が長距離通学だったことへと話が移り、転じて地元が宿場町であることから駕籠かきの話へとスムーズに流れていく。 そして、もう一席高座にかけたのは古典落語の『抜け雀』。無一文の男が宿泊代の肩代わりに描いた絵から雀が飛び出し、それが評判となり宿が大繁盛する寓話だ。宿に度々無一文の客を泊めてしまう人のいい宿屋の主人とその妻や、最後に自分の修練の足らなさを悔いる無一文の絵描き、そしてその父親を人間味たっぷりに演じ分けていたのが印象的で、聴き終わりに心地よい印象が残る高座だった。 本編を終えて橘さんとのトークコーナーでは、先日行われた『高校生ボランティア・アワード2024』へふたり揃って参加したことが話題に。橘さんが、小太郎さんのプロフェッショナルな働きぶりを絶賛。また、その流れで能登での公演にも招かれたというこぼれ話も飛び出した。 小太郎さんは今後、11月1日(金) に東京・らくごカフェにて『わくわく同期会』に出演。同期の鈴々舎美馬、春風亭いっ休と競演する。 <公演情報> 『わくわく同期会』 2024年11月1日(金) 東京・らくごカフェ 開場 18:30 / 開演 19:00 ■出演 春風亭いっ休、鈴々舎美馬、柳家小太郎