神戸地裁＝神戸市中央区橘通２

　兵庫県宝塚市の自動車販売・整備会社が四国銀行（高知市）から融資金４千万円をだまし取った詐欺事件で、粉飾した決算報告書を提出し融資を受けたとして詐欺と破産法違反の罪に問われた元社長（３７）＝西宮市＝の判決公判が１７日、神戸地裁であった。酒井英臣裁判官は懲役２年（求刑懲役３年６月）を言い渡した。弁護側は判決を不服として即日控訴した。 【図解】休眠会社を清掃会社に、みなと銀元行員の融資金詐欺 　判決などによると、自動車販売会社を経営していた元社長は同社役員らと共謀し、同社の預金残高などを多く装った虚偽の決算報告書を作成。同銀行に融資を申し込み、２０２１年２月、４千万円をだまし取った。また同年３月に同社の車９台を自身が実質経営する別会社に無償譲渡してから同年９月に破産手続きを始めており、破産管財人から車の保管場所を尋ねられても帳簿上の車両で実在しないなどと虚偽の説明をしていた。 　酒井裁判官は、知人らから金を借りて預金があるようにみせるなど「経済的な法秩序を軽視した犯行」と指摘。粉飾決算発覚後も事業を継続しようとしていたなどとし「刑事責任は共犯者より重い」と断じた。 　この事件では、兵庫県警が顧問税理士や税理士法人の職員らを逮捕。関係者によると、捜査協力の見返りに刑事処分を減免する司法取引（協議・合意制度）が税理士法人職員との間で成立し、地検は法人職員を起訴猶予とした。警察が捜査した事件では初の司法取引の適用とみられる。