〈東海大山形―羽黒〉後半39分、ダイビングヘッドで決勝点を挙げて仲間と喜ぶ東海大のＤＦ高橋蓮恩（５）＝天童市・ＮＤソフトスタジアム山形

　第103回全国高校サッカー選手権県大会（県サッカー協会、山形新聞、山形放送など主催）は最終日の26日、天童市のＮＤソフトスタジアム山形で決勝を行い、東海大山形が試合終了間際の決勝点で羽黒に競り勝ち、10年ぶり2度目の栄冠を手にした。 　東海大はＤＦからのパスの組み立て、羽黒はカウンターやロングスローで相手ゴールに迫ったが、互いにＧＫの好セーブなどがあり、無失点でゲームが進んだ。後半終了まで残り1分となった同39分、東海大のＦＷ軽部皓太がペナルティーエリア付近の左サイドで倒されてフリーキックを得ると、ＭＦ寺沼世藍のキックにＤＦ高橋蓮恩がダイビングヘッドで合わせ、均衡を破った。羽黒はラストプレーでコーナーキックから好機をつくったが、シュートはゴールポストにはじかれ、追い付くことができなかった。 　東海大は県代表として、12月28日に首都圏を会場に開幕する全国大会に出場する。 　【評】互いに堅守を続け、東海大山形が最終盤のフリーキックの好機を生かした。東海大はこぼれ球の奪い合いで優位に立ち敵陣に入り、羽黒はＤＦ陣がはね返した。羽黒はカウンターやコーナーキックから好機をつくったものの、決め切れなかった。

後半追加タイム、シュートを放つ羽黒のＦＷ岡部晟士

最後1分、執念の決勝点 　【ハイライト】共に無失点で勝ち進んできた東海大山形と羽黒の頂点争いは、堅い守りを崩さず0―0の時間が長く続いた。勝敗を分けたのは最後1分の攻防だった。セットプレーからのボールに体を投げ出して決勝点を奪った東海大のＤＦ高橋蓮恩は仲間と喜び、「全国でもチームが一つになって戦う」とさらなる結束を誓った。 　大きなピンチもくぐり抜けた。ゴールの直後、羽黒のコーナーキックで競り合いのこぼれ球をかき出せず、逆サイドへのパスからシュートを狙われた。この時に体を投げ出したのはＭＦ中村陽紀。懸命にコースを消し、相手のシュートはポストに当たった。ボランチとして80分間走り続けても「チームのためと思うと無意識に体が動く」と話し、「自分だけじゃなく東海の選手はみんな同じ」と誇った。センターバックで堅守を支えたＤＦ秋葉悠寿主将は「（試合を通して）失点する気はしなかった」と振り返った。 　県勢が全国大会で最後に勝利したのは2006年度で、秋葉ら現在の高校3年生が生まれた年だ。「自分たちの世代で山形の連敗に終止符を打てるよう、2カ月間いい準備をして勝利をつかみたい」。奪還した山形の頂点は新たな戦いへの出発点。東海大イレブンは闘志を燃やした。