中国、EU産豚肉をダンピング疑いで調査 EV関税引き上げに対抗か
中国商務省は17日、欧州連合(EU)域内産の豚肉について、ダンピング(不当廉売)の疑いで調査を始めると発表した。反ダンピング関税などの措置につながる可能性がある。EUの行政を担う欧州委員会は今月、中国から輸入する電気自動車(EV)に対する関税の引き上げ方針を発表したばかり。中国側が対抗措置に出た形だ。 商務省の発表によると、調査対象は豚肉やその内臓、塩漬けなどの加工品。中国国内の豚肉業界を代表し、中国牧畜業協会から調査の申し立てがあったという。今後、基本的に1年以内に調査を終わらせるとしている。 中国当局によると、2023年に中国は約271万トン(約64億ドル分)を輸入しており、その約半分がEUからだった。 欧州委は、EV産業に対する中国政府の補助金で中国メーカーのEVの価格が抑えられ、競争をゆがめていると判断し、最大38.1%の相殺関税を課す方針を発表したばかり。中国は対抗措置をとる構えを見せていた。今回の反ダンピング調査のほかにも、輸入大型ガソリン車への関税引き上げも示唆している。 今回の中国の調査について、欧州委のギル報道官は、定例の記者会見で、「調査が世界貿易機関(WTO)のすべての関連規則に完全に準拠するよう、適宜介入していく」と述べた。 また、中国の主張に一理あるかと問われ、「EUにおける中国への働きかけはすべて正しく、WHOの義務に完全に適合している」とした。(北京=鈴木友里子、ブリュッセル=森岡みづほ)
朝日新聞社