白熊、名は体を表す(1月24日)
すっかり人気力士に仲間入りしたようだ。須賀川市出身の十両白熊。両国国技館に「しろくまー」との歓声が響き、シロクマの帽子姿で応援する子どももいる。ただ、愛嬌[あいきょう]とは無縁なのが勝負の世界。本名の高橋から改名して臨んだ初場所は、10日目を終えて6勝4敗。残る5番で勝ち越しに挑む▼和名はホッキョクグマ。肉食獣として北極圏で最強を誇る。なのに見た目は愛くるしい。北海道が拠点の航空会社エア・ドゥのキャラクター「ベア・ドゥ」はシロクマだ。衣料品店「ユニクロ」のCMでは、シロクマがサザンオールスターズのメンバーに変身する▼相撲のしこ名は元々「醜[しこ]名」と書いた。自分の名を謙遜し、邪気を払う人の名という意味合いだった。現在は親方や古里の地名などにあやかり、さまざまな思いが込められている。動物そのものなら、かつて膃肭臍[オットセイ]や黒猫、月ノ輪熊之介なる珍名があった▼師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は「北海のシロクマ」と称された元大関北天佑のような関取への成長を願う。記憶と記録に残る躍進を。いっそ、得意の右四つからの寄りで世の邪気も吹き飛ばしてほしい。名は体を表すの言葉通りに―。<2024・1・24>