申ジエに単独インタビュー。「今のやりがいは若い選手に伝えること。だから、聞かれたら何でも答えちゃいます」
体にいいものを食べること、自分のことをよく知ること
申ジエは若い選手と練習ラウンドすることが多い。これからツアーを担っていく若い選手たちにどんなことを伝えているのだろう。 「2つあります。まずひとつ目はよく食べること。ゴルフはプレーする時間が長いスポーツだから、ちゃんと食べないと体力が持たないんです。自分に合う、おなかが喜ぶ食べ物を探すといいよ、って教えています。おいしい食べ物はその瞬間だけだけど、体にいいものは6時間から8時間も体にいい働きをするんです。だから私は自分に合わないものは口にしません。卵や小麦粉も少しアレルギー反応が出るから試合中は食べません。生ものや乳製品もそうです。ゴルフ選手は、毎日規則的に食事ができないので、胃腸があまり丈夫じゃない人が多いと思います。だから、シーズン中は食べてはいけないものをちゃんと決めるんです。自分をスポーツカーだと考えると、間違った燃料を入れると壊れてしまうのと同じです。ガソリンを選ばなくちゃ、速く走れませんから」 「もうひとつ伝えていることは、自分で自分のことをよくわかっている選手になること。ゴルフは感覚がとても大切なスポーツなので、自分だけが持っている感覚をちゃんと管理できるくらい、自分の体のことやスウィングのことを分析してほしいんです。ひとりひとりの選手が持っている自分の感覚というのは、他人にはわからないもので、強いと言われる選手はみんな自分だけの感覚を持っているんです。だから、自分のスウィングや打ち方を磨くことは、自分の感覚をどんどん磨いていくこともあるんです。そういう意味でも、いろんな選手といろんな打ち方を教えたり教えられたりすることは、すごく大切なことなんです」
アプローチ上手の秘密。「溝を1本ずつ打ち分ける練習の賜物です」
申ジエのアプローチは天下一品。だから、難しいコースで周りがボギーを出して崩れていくなか、淡々とパーを重ねて、流れが来るのを待てる。 「アプローチのことを聞かれることが多いですね。どうやって打ってるんですか、どんな練習をしているんですか、って。私がジュニア時代によくやった練習は、溝の1本ずつで打ち分けることです。普通のアプローチは下から3本目の溝で打つんですが、2本目の溝で打ったり、1本目の溝で打ったりするんです。これをやると、ヘッド軌道の最下点のコントロールが上手くなるので、ターフをまったく取らずにロブショットを打ったり、そういうこともできるようになるんです」