教育の大切さや平和への思いなどを語る渡辺えりさん＝山形市・遊学館ホール

　山形大の開学75周年を記念した特別企画として、山形市出身の劇作家・俳優渡辺えりさんの講演会が25日、山形市の遊学館ホールで開かれた。同大を卒業した父親の戦争体験や志に触れ、教育の大切さや平和への思い、これからの夢などについて語った。 　2年前に他界した父親は戦時中、東京の軍需工場で働いた。正義の戦いと思っていた価値観が終戦で一変したことに疑問を抱き、教育の意味を問いただそうと地元に戻りお金をため山形大で学んだという。戦争体験を本人から聞いたのは渡辺さんが30歳を過ぎてからだったとし、「私自身も戦争のことを調べるようになり、父親の気持ちが分かるようになった」と話した。 　両親は山形大に進学し音楽の先生になってほしいと思っていたというが、渡辺さんは高校卒業後に上京し演劇の道に進んだ。演出家、演劇人として若者を育てることに力を入れているとし「先生にはならなかったが結果的にやっていることは同じ。演劇や音楽が持つ目に見えない力を信じ、諦めずにその面白さを伝えていきたい」と語った。

　同大演劇サークルの学生とのトークや玉手英利学長との対談も行った。