「柄本佑の色っぽさ!」まひろ・倫子・明子...過去の共演作から見る、底を知らない色気の源泉【『光る君へ』18回までを振り返る】
大河ドラマを始め、ドラマ、演劇、映画に関するレビューや執筆に定評のある木俣冬さんが、改めて俳優・柄本佑の魅力について紹介します。 ※未見の方は以下、ネタバレを含みます。 【動画】もしも「光る君へ」キャストが現代に転生したら…そんな妄想を叶える道長と妻・恋人たちの共演作品 「公卿のトップに立ったのである」というナレーションのあとの藤原道長(柄本佑)の正面アップが凛々しかった。大河ドラマ『光る君へ』(NHK)第18回。アーモンド型の瞳の上まぶたは、まばたきしたらさくっと切れそうな鋭さ。こんなにも鋭利な上まぶたになりたい。 大河ドラマ『光る君へ』(NHK)ではついに道長が政権のてっぺんに立ちました。父・兼家(段田安則)の死からあれよあれよという間に、ふたりの兄・道隆(井浦新)と道兼(玉置玲央)も亡くなり、残った三男・道長は右大臣に。 関白にならなかった理由は、現場を知って働きたいから。関白になると目が行き届かなくなることを懸念した、現場主義の道長ってかっこいい。それも、まひろ(吉高由里子)の影響であることは明白で、彼女に貧しく虐げられている人たちのためになる国を作ってほしいと頼まれたからで。道長はまひろのために疫病患者のための救い小屋を作ろうと頑張るのです。 偉くなった道長は、まひろの言葉を思い返し、6年前に彼女と悲しいお別れをした廃邸に再びやって来ます。そこにはまひろがいて……。「昔の己に会いに来たのね」と心を読まれ、でも「でも、今語ることばはなにもない」とスルーされてしまう道長、立つ瀬なし。
女性のほうが一枚上手というか、一筋縄ではいかない感じは、柄本さんと吉高さんが共演した連ドラ『知らなくていいコト』(日本テレビ)を思わせます。あのドラマこそ、柄本佑はかっこいい、色っぽいと広く知らしめたレジェンドドラマでした。柄本さんと吉高さんはお互いに未練を引きずっている元恋人役というハラハラ感が求心力のドラマでした。 脚本は『光る君へと』同じく大石静さんだからか、いま思えば、ケイト(吉高)と尾高(柄本)はまひろと道長が現世に転生したかのような感じでした。おそらく、大石さんのなかで、柄本さんと吉高さんに当てて書くならこういう腐れ縁のような関係がテッパンなのでしょう。 『光る君へ』ではまひろが、妾はいやと意地を張ったがために、道長は、まひろよりも断然家柄のいい倫子(黒木華)と明子(瀧内公美)と結婚しそれぞれに子供をもうけます。黒木華さんと瀧内公美さんもそれぞれ柄本佑さんと共演していて、その共演作の関係性がやっぱりやや、『光る君へ』とかぶります。