災害時の遺体収容所どこに? 静岡県と伊豆半島の市町で異なる認識 「初動遅れ」懸念の声
遺体収容所「場所がない」 選定困難の声
賀茂地域では急速な人口減や伊豆沿岸部の地形などを要因に、各市町とも遺体収容所の設置や運用について頭を悩ませている。一定規模の公共施設は既に避難所に指定しているため、収容所の選定が困難との声も上がる。 未設置の西伊豆町と東伊豆町はいずれも「津波浸水域が広範囲で場所がない」(各担当者)と説明している。 下田市は葬儀業者と協定を結ぶが、「収容人数や長期の安置を考えると葬儀場での収容は十分ではない。災害時は業者の多忙も重なる」(防災安全課)と不安を示す。施設の性質上、「新たな選定には十分な住民理解も必要になる」(河津町防災課)との意見もある。 各市町とも職員の人的不足に悩む中、ある町長からは「賀茂地域全体で1カ所を用意し、共同で運営するのが現実的だ」と本音も漏れる。警察関係者は「大災害が起これば凄惨(せいさん)な状況になる。各市町が考える以上に、広いスペースが必要になるだろう」と指摘した。