上司に「退職前に有休消化なんてダメ」と叱られました。このまま退職するしかないですか? どうすれば有休をとれるでしょうか…?
「次の職場への準備をしたいから、退職前に残っている有給休暇を全部使いたい」と思う人は多いでしょう。しかし、会社から有休の消化を拒否されるケースもあります。本来、有休は労働者の権利のため、会社が退職前に残っている有休を拒否することはできません。 本記事では「有給休暇の消化を断られたときの対策」「気持ちよく有休をすべて消化する方法」について解説していきます。転職の予定があって、退職前に有休消化をしたいと考えている人はぜひ参考にしてください。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できる…?
会社が有休消化を拒否できない理由
会社が有休消化を拒否できない理由は、法令で定められているからです。 有給休暇は一定期間勤続した労働者に与えられる賃金が保障されている休暇を指し、法律では「有休は労働者の権利」とされています。そのため、会社が労働者の権利を奪うことは許されないのです。具体的に労働基準法には次の通りに示されています。 「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。」(労働基準法第39条5項) 有休を取得することは正当な権利ですから、会社から拒否されたからといって有休をとってはいけないのだと諦める必要はありません。
会社が有休の消化を拒否してきたときの対策
次に会社から有休の消化をしてはいけないといわれたときの対策を2つ説明します。それぞれ見ていきましょう。 ■社内の担当部署に相談する まずは、社内の人事部やコンプライアンス部、労働組合といった部門に相談してみましょう。有休消化の相談をしている直属の上司自身が、法令に関する知識が乏しいがゆえに有休を拒否しているケースがあります。法律の知識を持つ部署に確認することで、有休を認めてもらえる可能性が高くなります。 ■労働基準監督署に相談する もし社内の担当部署に相談しても、有休を認めないとなった場合は、労働基準監督署に相談してみましょう。労働基準監督署は法律にのっとった中立な立場ですから、会社側の有休消化拒否が悪質なものだと認められた時には企業に対して指導勧告を行ってくれる可能性があります。 労働基準監督署が動いてくれないケースもありますが、「労働基準監督署に相談中です」と申告すれば、企業は有休消化を認めてくれることもあります。企業が労働基準法に違反すると認められた場合、刑事罰を科される可能性があるため、そういった罰を避けたいと思うからです。社内の担当部署が動いてくれない場合は、労働基準監督署に相談してみましょう。