無数のバンドルを放出するハナガサミドリイシ＝２１日午後、龍郷町芦徳の倉崎海岸沖（興克樹さん撮影）

　鹿児島県・奄美大島近海のサンゴが産卵期を迎えた。龍郷町芦徳の倉崎海岸沖では２１日夜、精子と卵の入った淡いピンク色のカプセル「バンドル」が無数に放出され、夜の海を幻想的に彩った。 【写真】〈関連〉サンゴの産卵で赤く染まった波打ち際＝２１日、龍郷町芦徳（興克樹さん撮影）

　奄美海洋生物研究会の興克樹会長（５３）が、海岸から２０メートル、水深２．５メートルで撮影した。午後１１時から３０分間、ミドリイシ属のハナガサミドリイシなど２種が次々に産卵したという。「一帯は小さいサンゴながら、力強く産卵する姿に感動した」と語った。 　バンドルは直径０．５ミリほど。海面ではじけ、他のバンドルと受精して幼生となり、海底に定着しサンゴとして成長する。 　興会長によると、産卵期は８月まで。今後はほかの海域でも見られる。サンゴの卵や幼生の塊が海面に浮かび、波打ち際を独特なにおいとともに赤く染めることもあると言い、「サンゴの命の営みを感じてほしい」と話した。