「鬼平」継承は「運命だと思って、静かに即答」松本幸四郎が亡き叔父・中村吉右衛門さんの当たり役「演じ続けることは目標というより夢」
歌舞伎俳優の松本幸四郎(51)が、10日公開の主演映画「鬼平犯科帳 血闘」(山下智彦監督)で叔父の中村吉右衛門さん(2021年死去、享年77)の当たり役を受け継ぎ、火付盗賊改方長官の「鬼の平蔵」こと長谷川平蔵を演じる。 【写真】火事装束に身を包んだ映画の一場面 吉右衛門さんがテレビシリーズで最後に演じた16年以来、8年ぶりの復活。後任オファーを受け「運命だと思って、静かに即答しました」。京都・太秦での撮影は「叔父の鬼平には存在感の大きさ、懐の深さがあった。意識すると、プレッシャーにしかならない」と思い、頭を真っ白にした。「池波正太郎さんが生み出し、大森寿美男さんが脚本を書き、山下智彦監督が演出する鬼平に徹しようと心掛けました」 勧善懲悪で豪快な殺陣があり、捕物帳でもある。「正統な、ど真ん中の時代劇を作ろうと思って取り組んだ作品。火事装束で初めて『火付盗賊改方、長谷川平蔵』と名乗った時に特別な緊張があって震えました」と語る王道の時代劇。中村ゆり(42)演じるおまさ、北村有起哉(50)演じる網切の甚五郎など、人物像を繊細に描くことも、この作品の魅力だ。 風格と色気を漂わせた吉右衛門さんに対し、幸四郎演じる「令和の鬼平」は感情をむき出しにして敵陣に乗り込む。さらに血気盛んな若き日の鬼平、長谷川銕三郎(てつさぶろう)を長男の市川染五郎(19)が演じ、「なぜ鬼平と呼ばれるようになったのか」を描く。息子の熱演には「作品の中でしっかり存在している」と目を細めた。 吉右衛門さんは27年間、鬼平をライフワークとしていた。幸四郎は今後について「自分の中では一本ずつが勝負。鬼平を演じ続けることは目標というより、夢です」と強いこだわりを明かした。 (有野 博幸) 4日巨人戦始球式ど真ん中ズバッ 〇…4日の巨人―阪神戦(東京D)は、劇場版「鬼平犯科帳 血闘」スペシャルナイターと銘打ち、熱烈G党の幸四郎が初めて始球式を務める。「(2022年に)尾上松也くんが始球式をした時は巨人が負けましたから、阿部ジャイアンツの勝利を願って、ど真ん中にストレートを投げ込みたい」と気合十分だ。今季の巨人には「まだまだ力を出し切っていない選手が多い。もっと上に行けるはず」と奮起を期待した。
報知新聞社