私たちの道のりを振り返る
今回はクライアントと「一緒に」成果を振り返ることの価値を考えてみたいと思います。 そもそも、クライアントの成果を一緒に振り返ることの価値は、どこにあるのでしょう。 クライアントの前進を祝福したいから? コーチとしての自分が役に立ったと感じたいから? 価値を感じてもらって、コーチングの関係を継続したいから? 私自身はといえば、これまでそのスタンスが曖昧だったような気がします。しかし最近、とあるクライアントとの対話をきっかけに、振り返りセッションに対する見え方が変わった体験があります。
振り返る必要なんてない
クライアントのAさんは、ある企業のCxOを務める方です。Aさんとは一年ほどコーチングを続けてきましたが、コーチング契約が終わりに近づいたタイミングで、今後もコーチングを活用したいというご要望をいただきました。 そこで、いい機会だと思い、「Aさんがこれまでのコーチングで得たこと、前進してきたことを棚卸ししてみませんか?」とAさんに持ちかけてみました。 するとAさんからは、 「あまり気が進まないですね。過去のことに興味がないし、むしろ、次はどんなことを目標にしていけたらいいかを考えたいです。本当に目まぐるしくいろんなことに挑戦してきたから、あまり覚えてもいません」 という答えが返ってきました。 Aさんはタイプ分けでいうと「プロモーター」タイプで、アイディアがどんどん湧いてくる方なので、過ぎ去ったことに関心がないという発言には納得です。 しかし私には、成果を振り返りたい目的がもう一つありました。それは、スポンサーであるCEOへの報告です。そのことをAさんに伝えました。 「Aさんが今回の取り組みの価値を認識し、それをCEOに伝えてもらうことには、私たちが今後もコーチングに取り組む上で、すごく価値があるのではないかと思います。確かに "過ぎ去ったこと" ではありますが、一度簡単に振り返ってみませんか?」 するとAさんは、 「確かにそうですね...。じゃあ、サクッと完了させましょうか」 そんなAさんのリアクションとともに、私たちの振り返りがスタートしました。