樋口幸平が語る芸能界に入ったきっかけ、ドラマ「体感予報」「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の撮影エピソード、ファンへの思い
WEBザテレビジョン公式Xで、取材してほしいニューカマータレントをユーザーから募る新企画「推したい!フレッシュFACE」。今回は、現在放送中のドラマ「約束 ~16年目の真実~」(毎週木曜夜11:59-0:54、日本テレビ系)に出演中の樋口幸平が登場。芸能界に入った際のエピソードや、ファンへの思い、樋口が注目を集めたドラマ「体感予報」(2023年、MBSほか)についてなど、じっくりと話を聞いた。 【撮りおろし27枚】写真たっぷりの樋口幸平スペシャルギャラリーはこちら ■ドラマ「体感予報」との出会いで意識が変わった ――2023年に出演されたドラマ「体感予報」が国内外で大ヒットとなりました。この反響を樋口さんはどのように捉えていますか? 本当に想像もつかないような出来事がたくさんありました! 日本のみならずアジア圏からもイベントや取材などがあり、いろいろな経験がたくさんできました。感謝しつつ、これからもっともっとみなさんに喜んでもらえるよう頑張っていきたいですし、「体感予報」を一緒に作り上げてくれたスタッフやキャストに、今後の自分の活躍をしっかり見ていただけるよう頑張りたいとも思っています。 ――オンエア時やオンエア後にさまざまな声や反響をもらったと思いますが、特に印象的だったものを挙げるとしたらどのようなものですか? やはりアジア圏からの反響です。ファンレターやSNSでの反響が日本だけではなくなっていると感じてます。そのおかげで、イベントも実施できましたし、雑誌の取材も増えました。アジア圏での活躍の幅が広がっていけたのがうれしかったです。 ――それまで海外での活動についてはどのように考えていましたか? 僕自身、韓国ドラマは好きですし、「いつかはアジアを含めて海外でも、俳優の仕事やファッションの仕事ができるようになりたいな」と思っていましたけど、まだまだぼんやりしたものでした。 そう思ってはいても、どうしていいいか分からないという状態だったので「そうなればいいな」くらいのものだったんです。でも、それが「体感予報」を経てリアルな目標になってきたと感じています。「体感予報」でこんなにも意識が変わるんだなと自分でも驚いてます。 ■「みんなが思っているよりも全然普通の人間です(笑)」 ――改めてお伺いしますが、「体感予報」という作品で得たものや学んだものは? たくさんあるんですけど一つ挙げるなら…。あのドラマは“美しく描く”というところにフィーチャーしていたところでしょうか。それ以降、自分自身の外見や見せ方みたいなところはすごくこだわるようになりました。自分を見せる場面では、この経験を生かして少しでも美しく見せたいなと意識するようになりました。 ――それは「体感予報」でご自身のストロングポイントが見つかったということでもあるのでしょうか? それはあると思います。ドラマをできる限りリアルタイムで見ていたので、みんなの反応を同時進行で見ていて、「ここってみんなこう思うんだ」とか「ここのシーンがキレイだと思われているんだ」とか、自分では何も思っていなかったことがみんなには刺さっていたりだとか、そういうことをすごく学びました。 それを基に、「僕はこうみせていけばいいのかな」とか「みんなはこういう表情がいいと思ってくれているんだな」と、いろいろと考えるようになりました。 ――そんなさまざまな意見も知った今、ご自身で思う“樋口幸平”とは? そうですね、みんなが思っているよりも全然普通の人間です(笑)。ドラマで演じた役(瀬ヶ崎瑞貴)が完璧な人間だったので、SNSとかよく言われるんです、「樋口くんは完璧だから」とか。驚いたのが「樋口くんは本当に存在しているのか」とか思われたりしたことです(笑)。 僕はまったく完璧な人間ではないですし、抜けているところはたくさんあるし、おなかがすいたらふらっとラーメンを食べに行ったりもしますし。本当にどこにでもいる普通の人なので…僕は、これからもそういう人間でありたいと思っています。 もちろん自分が持っている軸や「こうなりたい」という芯は強く持っていたいけど、オフでは自然体で、笑顔でいたい。普通に友達とご飯を食べに行ったり、飲みに行ったりするのも好きだし。そういう人間です、ということは改めて言っておきたいですね。 ――ちゃんと存在しているよと(笑)。 はい(笑)。僕も昔、あったんですよ。見ていたドラマで、嫌な役を演じている俳優さんをそのまま嫌いになっちゃうみたいなことが。だから「体感予報」を見て僕を知ってくださった方が、僕のことも完璧な人だと思ってしまう気持ちも分かるんですけど、全然そんなことないので。楽しいことが大好きな、みんなと変わらない人です。 ■運が味方してくれていると感じます ――ここからは、改めて俳優人生としての始まりから振り返っていければと思います。樋口さんの芸能界入りのきっかけはスカウト。挑戦してみようと思ったのはどうしてだったのでしょうか? 高校サッカーの試合を見てくれたチームがプロ育成選手としてスカウトをしてくれたんです。高校卒業を機に上京しました。そこから1年間、育成選手として頑張っていたのですが、結局プロ契約までには至らなかったんです。 プロになれなかったのがショックですごく落ち込みました。今までサッカーしか打ち込んでこなかった人生だったので、ここから先、何をしてもいいか分からず、「これからどうしよう」とものすごく悩みました。 悩んだ末、このまま実家に戻ってやり直そうと思いました。最後に買い物してからと思って渋谷に出かけたんです。そのときなんです。芸能事務所から数社スカウトされて。まだ18歳だったのでびっくりしたと同時にうれしくなって。昔から目立つことが好きだし、芸能界ってキラキラした世界に見えてしまい、そんな単純なことがきっかけで芸能界にすごく憧れを持ち始めたんです。 せっかくスカウトしてくれたからには、挑戦してみたい! そう思って父親に相談しました。喜んでくれると思っていたのに、いきなり反対されてしまったんです。何度も話して、「同世代の人が大学を卒業するまでの4年間、22歳までにちゃんと仕事が決まるようになったらそのまま続ける。でも、それまでに決まらなかったら帰ってこい」と言われ、その約束を受け芸能界に入ることを許してもらえました。 芸能界に飛び込み4年間の間に、オーディションでスーパー戦隊の主演のレッド(「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」桃井タロウ役)が決まったんです。そのときは父親がすごく喜んでくれまして。「頑張れ」と言ってくれたのはとてもうれしかったです。 ――有言実行できたわけですね。 はい。僕、本当に運がいいなといつも思っているんです。よく友達にも言われるんですけど、僕「ここでこうならなかったら」がすごく多いんですよ。サッカーをやめたあのときにスカウトされていなかったらどうなっていたんだろうとか、親との約束の期限の間に戦隊のレッドが決まってなかったらどうなっていたんだろうとか。 「体感予報」にしても、あのドラマがヒットしていなかったら? とか。本当に幸運だなと思います。 ――「すべて実力ですよ」と思うのですが、ご自身としては、運がいいと思っていらっしゃると。 はい。運がいいって信じてます。 ■後輩たちに語り継がれる俳優になれるように ――そんな運に導かれてさまざまな作品と出会ってきた樋口さんですが、現在、俳優としての仕事やお芝居に対する面白さはどのようなものだと思っていますか? まずは、ドラマだと自分は話の結末を知っているけど、その結末を知らない人たちが「こうなんじゃないか」と考察しながら見てくださっているのを見るのが面白いです。 あとは、人間力がつくこと。毎回毎回新しい環境に身を置いて、いろんな人間の人生を演じていくわけですから。いろいろな人生を経験し、吸収できることはとても勉強になります。 この職業は人と会う回数が多いし、作品ごとに環境も変わるので、人間というものをすごくリアルに感じられて、向き合う職業だと思うんです。だから人間力が上がる仕事だなと思いますね。 ――本当に多くの人と出会うお仕事だと思いますが、これまで出会った人の中で特に樋口さんに大きな影響を与えた人を挙げるなら? 「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の田崎竜太監督です。「仮面ライダー電王」や「仮面ライダーW」だったりと、昔から特撮シリーズの監督を手掛けていて、今第一線でご活躍されていらっしゃるライダーや戦隊出身の俳優さんを育ててきた監督さんです。 まずは、その監督さんの元で芝居ができるということ自体すごく恵まれていたことだと思いますし、初めての撮影のときに「芝居をなめていたのかもしれない」って思ったんです。 もちろんなめているつもりはなかったんですが、僕はその時点でお芝居のことが全然分かっていなかったので。それまでも少しは作品に携わることはありましたけど、がっつり役を演じるということは初めてだったので、田崎監督に出会って、俳優としてようやくスタートラインに立てたという実感がありました。 ――田崎監督に教わった中で特に印象的だったことは? たくさんのことを教えてもらいましたけど、まずは芝居は心情から作っていくんだという、芝居のベースを教えてもらいました。「心身ともにその気持ちにあった状態に持っていけよ」と。しんどい役を演じるとして、実際の僕がしんどくなかったら、そこにギャップが生じるもので。だったら現場まで走ってくるなりして、そこまで持ってこい、と言われました。 そこで学んだ芝居の基本は、僕の俳優人生にもものすごく生かされていると思います。もちろんこの現場での監督は田崎監督だけじゃなく、いろいろな監督さんがいて、いろいろな考え方がありました。それも面白かったですね。 「こんな考えの人もいるんだ」とか「こういうアプローチもあるんだ」とか。柔軟に、いろいろな人の意見を聞きながら進んでいくことを教えてくれる現場でした。 ――田崎監督には、「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」が終わったときに何か言われましたか? 「主演としてよく頑張った」というのと「成長した」と言っていただけました。それだけで1年間やってよかったなと思いました。やはり1年間続く戦隊ドラマに出演するというのは、大変なこともたくさんあるけど、学ぶことがたくさんある最高の現場だと感謝してます。 1年間、本気で頑張った人にとっては「あのときは良かった」って言える大事な期間だと思います。そう思うと、監督に「成長した」と最後言っていただけたということは、頑張れていたのかなと思いました。 ――今、ご自身で振り返って、あの1年間は経験して良かったなと思いますか? 思います。あの時期がなかったら今の自分は絶対にいないです。スーパー戦隊の現場って昔からずっと変わっていないんです。だからスタッフさんたちから、今活躍していらっしゃる俳優さんたちの当時の話がよく出るんです。 「彼はどうだった」「こんな努力をしていた」など。先輩の方々のそのとき頑張っていた話を聞くことがたくさんあってすごく励みになりました。いつか僕も、後輩たちに「樋口はこうだったよ」と言ってもらえるようこれからも努力を続けて行かないといけないと思いましたし、お世話になったこの現場のスタッフの皆さんに少しでも恩返しができてるよう頑張らないといけないと思いました。 いつか10年後に、スーパー戦隊に戻ってこられたらいいですよね。若い頃に育ててもらった場所に自分の持っているものを還元できるよう頑張りたいと思います。 ■切磋琢磨して、一緒に頑張っていきたい ――樋口さんにとって同世代の俳優はどのような存在ですか? 同世代だし、ライバル心とか、そういうものもあると思うんですけど、拳ちゃんと亘は戦隊のときからの仲間だし、綱くんは10代からの知り合いです。今でも仲良いからこそ、みんなで本気で頑張って、みんなでのし上がっていきたいと思っています。 もちろん誰しも波があると思うんです。でも、自分が苦しい状況でも、心から「本当にすごいね」「本当によかったね」「おめでとう」って100%の気持ちで言えるのは、この3人ですね。 会えばくだらない話ばかりしていますけど、つらいときや苦しいときは相談するし、される。活力になる存在でもあります。お互いの人柄に刺激を受けながら、みんなで切磋琢磨して、一緒に頑張っていけたらこれ以上幸せなことはないなと思います。 ――では他の同世代の俳優さんはいかがですか? 活躍が気になったりはしますか? 比べられることはたくさんありますけど、今は自分を成長させることだけを考えています。もちろん多少の意識はします。でも、それよりも自分がどうなっていきたいのかを第一に考えて、共演者の皆さんに刺激を受けて成長していきたいと思っています。 ――もともとそういう考え方でしたか? それとも最近? 最近ですね。もともとはすごい人と比べがちでした。でも最近になって「人と比べるんじゃなく、もっと自分にフォーカスして考えていかないとダメなんだな」と思えるようになりました。 それはたぶん、今が充実しているからだと思います。自信がないときに人と比べていたんだろうなって、今振り返ると思います。でもまだ、人と比べてしまうことがあるので、もっともっと自信を持てるように努力していきたいと思います。 ■今後挑戦したい役は“お笑い芸人” ――俳優としての今後の目標や展望を聞かせてください。 僕に影響を与えてくれた人に恩返しがしたいなと思っています。さきほども話しましたが戦隊のスタッフさんたちだったり、親だったりが、自慢できるような存在になれるように頑張ります。 ――今後挑戦してみたい役柄や作品はありますか? あります。制服がまだ似合ううちに学園ドラマやキラキラした恋愛作品に挑戦したいです。あと、いつかお笑い芸人の役を演じたいです。 僕、菅田将暉さん主演の映画「火花」や、ドラマ「べしゃり暮らし」など、芸人さんを描いた作品が大好きなんです。M-1グランプリも大好きなので「M-1グランプリに行くまでの過程を描いたドラマとか映画作ってくれないかな。」と思いながら見てるんですよ(笑)。 ■ファンの方には「常に僕から刺激を与えたい」 ――この「推したい!フレッシュFACE」は、ファンの方から、読者の方から紹介してほしい“推し”を募るという企画です。今回は樋口さんへの票が多く集まり、実現しました。 わあ! うれしい! ――ということで最後に、樋口さんにとってファンの方はどのような存在なのかを聞かせてください。 僕のファンの人たちって、僕のことを真っすぐに見てくれるんです。緊張で逆に見てくれないときもあるんですけど(笑)。でも真っすぐに「私はあなたが好きです」っていう表情をしてくれる子たちが多くて。それだけですごく元気をもらえます。 ファンクラブのイベントは毎回皆さんと会うのが楽しくて! 「体感予報」を通じてこれまで以上に多くの方が応援してくれるようになってから、「ファンの方々にもっと喜んでもらいたい」と思うようになりました。「ファンの方々を楽しませるには、こうしたほうがいいんじゃないか」って。常に僕から刺激を与えたい。皆さんに楽しんでもらいたい! そう思うようになりました。 「驚いてくれるかな?」と思いながら、いつもとは違う系統の服を着てみたり、「こういう役をやったらファンの人が喜んでくれそうだな」って思ったり。そう思うようになったのは初めてだったので、ファンの方々に恥じないような活動をこれからもしていかないといけない、と思ってます。 ――「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」のスタッフさんのお話もそうでしたが、今まで出会った人たちへの愛が大きいですね。 今の自分がいるのは、今まで出会って来た人たちの影響が大きいです。僕を導いてくれた人たちに恩返しをしていかないと、今後の自分はないなと思っています。これからも応援よろしくお願いします! ◆取材・文/小林千絵 撮影/友野雄