<フィギュアスケート>浅田真央は2回のトリプルアクセルに挑戦すべきか
まさかの3位……。 鈴木明子がパーフェクトな演技を見せたと言えども、最終滑走者の浅田真央は、それを上回って優勝の肩書きを、またひとつ増やしてソチ五輪に向かうはずだった。緊張した場面で予行演習ができるのは、この全日本と、出場できるならば1月末の4大陸選手権しかない。浅田は、間違いなくソチのリンクを想定してフリー演技に臨んでいた。 だが、冒頭のトリプルアクセルではオーバーターンとなって着氷に失敗した。「1発目が綺麗に決まっていれば、2発目も分からなかったんですけど、これがラストチャンスだったので2回目も挑戦しようと」、続けてトリプルアクセルに挑んだが、一瞬の躊躇で、タイミングを失い、今度は、一回転しかできずに手を着いた。 ■トリプルアクセル失敗の原因 本人は「どうして跳べなかったのかわからない」と言う。3位に終わったことよりも、ソチ五輪での金獲得プログラムの肝であるトリプルアクセルの2度失敗が、浅田に大きなショックを与えた。失敗の原因について、元全日本2位で、現在は、インストラクター兼アスリートジャーナルで執筆活動をしている中庭健介さんに分析してもらった。 「練習から高さが足りませんでした。コンディションが悪かったのでしょう。前を向いて踏み切るアクセルは、ロケットと同じで飛び出しの角度が重要です。特に脚力のない女子の競技者は、その角度が成否の鍵を握りますが、その角度の作り方の上手さが、浅田選手の特徴なのです。でも、今日は角度が甘く、その影響からか着氷時にもウエイトが後ろに残る形になりました。2つ目の失敗は余裕がなくなったことによる力みだと思います」 元全日本4位で現在インストラクターの今川知子さんにも同じ質問をしてみた。 「グランプリファイナルから2週間しかなく疲れがあったのではないですか。調子を落としているように見えました。練習でも、ほとんど挑戦しなかったのは悪いイメージを引きずりたくなかったのでしょう。アクセルは上がりきれず踏み込みが浅かったです。後半もコンビネーションジャンプの2つ目がダブルの予定がシングルになりましたが、キュっとひとつ目のジャンプの回転を止めきれず、2つ目のジャンプへの準備動作で上体が外に流れたのが原因。疲労から体に力が入らなかったのでしょう」