大の里（2024年3月撮影）

＜大相撲夏場所＞◇初日◇12日◇東京・両国国技館 　昭和以降2位のスピード出世となる、所要6場所で新三役に昇進した小結大の里（23＝二所ノ関）が、横綱照ノ富士に土をつける殊勲の星を挙げた。照ノ富士には新入幕の初場所に続いて2度目の挑戦。新入幕力士が横綱に挑戦したのは10人目で、勝てば史上最速の初土俵から5場所目の金星だったが、上手投げで土俵下まで投げられていた。そこからわずか2場所後に、番付の頂点の相手を破るまでに成長した。 【写真】腕組みで渋い表情の照ノ富士 　4月の春巡業では、ぶつかり稽古で初めて照ノ富士に胸を借りた。その後も土俵下で四股の踏み方や足の指の使い方を教えてもらい、早速実践。砂まみれになったが「横綱に胸を借りられてありがたい」と、感謝しきりだった。 　先場所まではスピード出世を象徴する、ざんばら髪だった。所要6場所での新三役は、逸ノ城の同5場所に次ぐ2番目の速さ。4月30日の新三役会見で、初めてまげを結った姿を披露。西小結は、初日に出場力士の中で番付最上位と対戦することが多く、会見では照ノ富士戦と初日に顔を合わせることについても問われた。それでも「想定はしている。序盤の5日間が勝負」と、堂々と話していた。 　先場所は千秋楽まで優勝を争ったが、尊富士に110年ぶりの新入幕優勝を許した。それでも初場所、春場所と2場所連続で優勝争いに絡み、ともに11勝4敗の好成績。「優勝が夢から目標に変わった」と、近づいてきた実感はある。32歳の照ノ富士を破り、世代交代が近づいてきたことを印象づける白星。勢いに乗って、初土俵からわずか7場所目の歴代最速優勝を目指していく。