温室効果ガス、2035年度に13年度比で60%削減が目標 政府調整、現在のペースを維持
政府は温室効果ガス排出量の削減目標について、2035年度に13年度比で60%減とする方向で調整に入った。国際公約の50年の排出量実質ゼロに向け、現在の削減ペースを維持し、企業などに引き続き脱炭素の取り組みを促す。新たな目標は年内にまとめ、25年2月までに国連に提出する。ただ削減ペースを速めるべきだなどの指摘もあり、協議は曲折の可能性もある。 経済産業省と環境省が25日の有識者会議で削減目標案を示した。40年度は13年度比73%減とした。新目標は、気温上昇を産業革命前から1・5度以内に抑える国際枠組み「パリ協定」で提出が求められている。 日本の22年度の温室効果ガス排出量は、二酸化炭素(CO2)換算で前年度比2・3%減の10億8500万トン。13年度比では22・9%減で、政府は50年の実質ゼロに向け取り組みは「オントラック(順調)」(関係者)だとみている。 日本は現在、30年度に13年度比46%減という目標を掲げている。現在のペースを維持すれば30、35、40年度の目標はいずれも実現が可能な水準だ。 ただ世界的に気温上昇が続き、24年は「1・5度目標」の達成が危ぶまれ、先進国はさらなる削減増を求められそうだ。25日の有識者会議では、GX(グリーントランスフォーメーション)分野の国際競争力を高めるため、「野心的」な目標を求める声も上がった。 一方で日本では原発が減り、再稼働も思うように進まない。現在の削減ペースを維持することも容易ではないとみる向きもある。(中村智隆)