集団的自衛権「憲法解釈の変更」って何?
日本が集団的自衛権を使えるようにするため、安倍政権が憲法の解釈を変更しようとしています。どういうことでしょうか。 集団的自衛権とは、自国と関係の深い国が武力攻撃を受けた時に、自国が攻撃されたとみなして反撃できる権利のことです。たとえば米国が他国に攻撃された時に日本が反撃できる権利です。国連憲章第51条で「固有の権利」として認められています。 ところが日本政府は、集団的自衛権について「権利はあるが使うことは許されない」という立場をとってきました。一見おかしな表現ですが、戦争放棄などを定めた憲法9条に照らして、「自衛のための必要最小限の範囲を超える」と解釈してきたのです。 ここで重要なのは、集団的自衛権の行使は憲法や法律で禁止されているわけではなく、政府がそう解釈してきたという点です。つまり、政府が解釈を変えれば行使できるようになる、とも言えるのです。安倍首相はこの解釈変更を目指しています。
首相が解釈変更を宣言する?
憲法解釈を変更するにはどういう方法があるのでしょうか。(1)首相が談話などで宣言(2)閣議決定(3)集団的自衛権の行使を明記した安全保障基本法を制定――の3つの方法があるそうです(北岡伸一国際大学長の2013年8月16日付時事通信インタビューなど)。 早い話、安倍首相が「解釈を変更します」と宣言すればいいわけですね。とはいっても、歴代内閣が守り続けてきた憲法解釈を首相1人の考えで変えるわけにはいきません。解釈変更が憲法上問題ないかどうか、内閣法制局の意見を聞くことになるでしょう。 内閣法制局は「法の番人」とも呼ばれ、政府が国会に提出する法案が憲法や法律に矛盾していないかをチェックしています。政府の憲法解釈に助言する役割もあり、「集団的自衛権は行使できない」との政府見解を緻密な論理で組み立てたのも内閣法制局です。 安倍首相は2013年8月、集団的自衛権の行使に前向きとされる人物を内閣法制局長官に起用しました。この人事は憲法解釈変更への布石と見られています。