【ライブレポート】Laika Came Back、チケット即完売のPLEASURE PLEASURE単独公演
また後半では、今回のライブタイトルにも冠した5月29日リリースの新曲「風の中で」も披露された。演奏する前に「間違えたら、何度でもやり直します」と初披露ならではの言葉も添えながら、繊細にアルペジオを奏で歌い上げる。リリースとしては、次に披露した「グレースケール」以来約1年ぶりの新曲。観客がその歌とプレイをしっかりと耳と目に焼き付けていこうと固唾を飲んで見つめ、静かな緊張感が会場に満ちるなか、伸びやかな歌心が空気を入れ替えてくれる。ふっと肩の力を抜くようなボーカルが優しい。「風の中で」「グレースケール」「こはく」は椅子に座ってのプレイとなったが、「グレースケール」ではギターのサウンドホールに声を響かせて歌ったり、「こはく」ではギターのボディをはじくようにリズムを出したりと、見どころが多い。再びスタンドマイクの前に立ち、「Trace」からはまた旅の続きのようにその音がさまざまな景色、情景を呼び込んでいった。会場に波音が響きステージが幻影的なライティングに染まった「Green」から牧歌的なアルペジオに哀愁の音色が混じる「終電車」がメドレーで奏でられ、息を整えるようにしてポツリと歌いはじめた「逆光」では、鍵盤などの同期も加え、ふくよかに歌の世界を広げていく。ラストに据えたのは「Landed」。 Laika Came Backというプロジェクトの名は、宇宙船スプートニク2号に乗り宇宙に飛び立った犬のライカにちなんでいる。活動開始の際に“もし志半ばにして命を終えなければならなかった者たちがこの地球上に帰ってくることができたら、何を思い、何を描き、何を奏で、どんな行動をするのでしょう”というコメントを発表した車谷だが、「Landed」という曲はまさにそのはじまりを告げる曲だ。期待を帯び、美しく神聖な音色で、美しさや尊さだけでは語れない現実を見つめ歌う。そんな変わらぬ原点を、最後に刻みつけるように置いていくステージとなった。 やまない拍手に迎えられアンコールに登場した車谷は、「素敵な時間になった」と告げ、「ではまた来年……来年って言っちゃったけど、年内もう一回くらいやってもいいのかな」という一声に、観客の拍手が大きくなった。アンコールでは、「駿馬」の1コーラス分を、マイクを通さず生声のビブラートで響かせたLaika Came Back。名残惜しくも、また新しい曲やみやげ話を持って出会うべく、再び音楽の旅へと歩みを進めていく姿を見せるライブとなった。 Text:吉羽さおり Photo:Kaori Tochigi <公演情報> 『Laika Came Back コンサート“風の中で”』 2024年5月11日(土) 東京・渋谷SHIBUYA PLEASURE PLEASURE 【セットリスト】 01. 桜花 02. 天空の彼方 03. 朝凪の色 04. あいうえお 05. 新緑の候 06. The Bears 07. Southern Cross 08. 魔法の黄色い靴 09. 風の中で 10. グレースケール 11. こはく 12. Trace 13. Green~終電車 14. 逆光 15. Landed EN. 駿馬 <リリース情報> デジタルシングル「風の中で」 2024年5月29日リリース iTunes Music、Amzon Musicにてダウンロード販売