参加者と花の苗を植えるアート・ユニットの小林直人さん(手前左)=水戸市五軒町

動植物や自然を含めた他者との関わりを通して制作を行うアート・ユニット「山下麻衣+小林直人」の企画展「山下麻衣+小林直人　他者に対して、また他者と共に」が27日、茨城県水戸市五軒町の水戸芸術館で開幕した。展示の目玉となるのが同館広場の特設花壇を使った市民参加型のプロジェクト。9月までに約3000株の花を植えて「大丈夫」の文字を描いていく。アート・ユニットの2人は市民と「大」の字の花植えに汗を流した。 アート・ユニットは、山下麻衣さん(47)と小林直人さん(49)夫婦。共に東京芸大の大学院生だった2001年に活動を始めた。同大学院修了後、ヨーロッパに渡り、各国の滞在制作プログラムに参加。映像を駆使したパフォーマンスや絵画、彫刻などを手がけた。これまでに栃木や富山の美術館で個展を開くほか、瀬戸内国際芸術祭などにも出展。現在は千葉県を拠点に活動する。 今回の企画展は映像による空間展示を主体に、初期から近作まで国内未発表作を含めた約120点を紹介している。 目玉となる新作「人が花に対して、また花と共に行う営み」は、同館の芝生広場に設けられた巨大花壇を使った参加型アート・プロジェクト。市民の協力を得て、9月までに約3000株の花の苗を植えて「大丈夫」の3文字を完成させる。山下さんは「『大丈夫』という言葉は状況によって解釈が変わるところが面白い。メッセージを伝えるというよりは、考えるきっかけを届けたい」と説く。 この日夕、市民ら約50人が集い、約13メートル四方の枠に盛られた「大」の字の土に、コリウスやサルビアなどの花の苗約460株を植えた。小林さんは「こんなアートがあることを知ってもらえれば」と話した。 企画展の会期は10月6日まで。花植えは7月28日も行われる。