進む教育データ利活用とラーニングアナリティクス――ICT活用教育の最新トレンド
若手教員の授業が改善
データの分析結果を若手教員にフィードバックした結果、図2右のように学習活動の明確な切り替えが見られるようになった。同じ授業をしたベテラン教員に比べると切り替えに時間はかかっているが、以前よりは改善した。 図3は、教員の頭の向きを記録したデータだ。ここでもベテランと若手では大きな違いが見られる。一方向ばかり向いていて教室全体を見ていなかったことに気付いた若手教員は、意識して改善するよう努力した。その結果も、データにしっかり表れている。大森氏は、「熟練教員と経験が浅い教員との違いは経験則としては分かっていたが、それをデータとして示せた意義は大きい。教員研修で定量的な数値として先生に示せる」と説明する。 データによる裏付けに加えて、教員は研修の機会でなくても授業を振り返ることができるのもメリットだという。一般に指導する教員がいないと研修はできないが、分析とフィードバックをするシステムがあれば、気になったときにいつでも自分の授業をチェックできるわけだ。 初出:2024年4月22日発行「日経パソコン 教育とICT No.28」より抜粋
文:江口 悦弘=日経パソコン