ジュリエッタ・ユーザーを呼び戻す? アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカへ試乗 HVも登場!
モードを問わず洗練性は高い 乗り心地は良好
確認を終えて、スタートボタンを押してみよう。エコ・モードは出力が80psへ絞られ、1545kgあるジュニア・エレットリカが重く感じられる。カタログ値の402kmの航続距離を狙うような場面でない限り、選びたいとは思わないかも。 ナチュラル・モードは、110psへ上昇。ダイナミック・モードにすると、156psが開放されるのと同時に、アクセルペダルの反応も鋭くなる。パワーデリバリーはしっかり調整され、速度管理は容易。110km/hを超えるまで、加速が鈍くなる様子もない。 ただし、ダイナミック・モードでも動力性能は活発だと感じる程度で、ボルボEX30の鋭敏な加速力には及ばない。恐らく、普段使いでも筆者はこの設定を選ぶだろう。 モードに関わらず、洗練性は非常に高い。風切り音や転がり音はしっかり抑えられ、車内は静かだ。ダンパーの伸縮音もほぼ聞こえない。 サスペンションはしなやかに動き、乗り心地は良好。舗装が隆起した部分や、剥がれた穴を通過すると、小さな振動が伝わるものの、快適性は高い。ヴェローチェより小径なホイールも、プラスに働いているはず。 小さめのサイズと良く利く小回りで、市街地での扱いやすさは優秀。郊外のカーブが連続する区間へ飛び込めば、アルファ・ロメオがブランドの個性を注入したという主張を実感できる。
ライバル以上のダイナミックさ HVも登場予定
ステアリングは適度にクイックで、反応は正確。重量配分も悪くないようで、シャープに回頭していく。4本のタイヤはしっかり路面を掴み、安定性も高い。 同じe-CMPをベースとするSUVとしては、姿勢制御もタイト。ヘアピンカーブを攻め込んでも、ボディの動きは巧みに制御され、出口でアクセルペダルを踏むと滑らかな加速を披露してくれた。 唯一、惜しいと感じたのがブレーキ。踏み始めの反応が弱く、効きも漸進的とはいえないようだった。 本当のアルファ・ロメオの輝きがあるかと聞かれると、イエスとは答えにくい。だが、マイルドなスペチアーレでも、ライバル以上のダイナミックさを獲得している。腕利きのアルフィスタを夢中にはさせないかもしれないが、充分な落ち着きと精度は備わる。 何より、好適なタイミングで好適なモデルが投入されるということに、大きな意味がある。競争力の高い価格設定も与えられるようだ。同社の期待通りの販売を、稼げそうに思える。 ちなみに、2025年にはマイルド・ハイブリッドのジュニアも登場予定。欧州ではバッテリーEVの販売に陰りが出ているが、それも補完できるはず。 ◯:バランスに優れ、個性を感じられる動的特性 従来の同社のハッチバックにも似ている 複数から選べるパワートレイン △:ホットなヴェローチェは高価で航続距離が短くなる ステランティス・グループ内に似た内容のモデルが複数ある
アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)のスペック
英国価格:3万5695ポンド(約685万円) 全長:4173mm 全幅:1781mm 全高:1535mm 最高速度:149km/h 0-100km/h加速:9.0秒 航続距離:402km 電費:6.6km/kWh CO2排出量:- 車両重量:1545kg パワートレイン:他励同期モーター 駆動用バッテリー:50.8kWh 急速充電能力:100kW 最高出力:156ps 最大トルク:26.4kg-m ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
ジェームス・ディスデイル(執筆) 中嶋健治(翻訳)