林家こん平さんの『都電落語会』10周年で閉幕へ 「父と歩んだ二人三脚、思い出がたくさんありすぎて」
演芸番組『笑点』のお客さん参加型挨拶「1、2、3、ちゃら~ん!」で親しまれた落語家・林家こん平さん。亡くなるまで注力していた『都電落語会』が10周年を迎え、東京都広域支援型商店街事業『TODEN都電で巡るSHOWTENKAI』オープニングファンファーレと題したイベントが26日、東京・新宿区で開催されました。 【画像】聖火に込めた亡き父・林家こん平さんの思い こん平さんの二女・笠井咲さんや、こん平さんと縁があるシンセサイザー漫談・林田忠男さん、発泡スチロール芸人・できたくんらが登場し、沿線の大隈通り商店会、早稲田商店会、庚申塚商栄会の活性化をアピールするイベントを盛り上げました。
■『都電落語会』10周年 2024年度で閉幕へ
こん平さんの二女・咲さんが手がける『都電落語会』は、東京さくらトラム(都電荒川線)を貸し切りにし、都電に揺られながら落語を味わうという移動型の寄席で、2014年8月22日『チンチン電車の日』にスタート。こん平さんは当時、難病である多発性硬化症を患って10年。リハビリを続けながら前向きに人々へ笑いを届けるこん平さんの姿は文化と福祉のコラボレーションであり、笑いがもたらす免疫効果を体現したと咲さんは振り返ります。 この日は、演劇経験を経て32歳のとき六代目三遊亭円楽さんに入門した三遊亭楽八さん(44)と、三遊亭好楽さんの孫弟子で三遊亭兼好さんの弟子・三遊亭けろよんさん(27)が車内の高座へ上がり、独特の空間の中で観客を沸かせました。
けろよんさんは“動く落語会”について「かなり珍しいですね。いつもより(客席と高座が)近い感じで、乗り降りもあるので(笑)、お客様とコミュニケーションをとりながら、時間を見てやるというのは難しい」と苦笑い。この都電の中で落語を楽しむ風情は地域活性化などに貢献してきましたが、2024年度をもって閉幕することになりました。
こん平さんの二女・咲さんは「父と歩んだ二人三脚での都電落語会です。思い出がたくさんありすぎて、(こん平さんの)介護度が大変よくなっていくという奇跡、ミラクルを起こした都電落語会を永続的に運行していきたいという思いもあるんですけど、10周年を機にラッピングも含めいったん終了という形をとらせていただきたい。長いようで短かった都電落語会と父と私の歩みが完結したという思いでいっぱいです」と語りました。 そして、こん平さんがいたら何と声をかけてくれると思うか聞いてみると「『1、2、3、ちゃら~ん!』というおたけびをあげながら、きっと『よくやったね』と言ってくれているんじゃないかなと思っています。『もうちょっと続けられない?』ぐらいに思っているかもしれません」と笑顔で話しました。
こん平さんの闘病や介護を通じて学び、現在は地域活性化プロデューサーとして北海道から沖縄まで全国で活動しているという咲さんは今後について「笑いがもたらす商店街の事業だったり福祉事業といったところで、父の冠を残しながら、より全国の多くの皆様に笑いを届けたい。あきらめないで物事に挑戦していただきたいと伝えていきたい」と説明。 また、新たに東京都の自殺対策事業にも取り組むといい、「命の大切さ。生きたくても生きられなかったり、生きづらい世の中ではあるんですけど、笑いがもたらす効果で心を変えていけるように」と力を込めていました。