元巨人の“神の足”鈴木尚広氏が2月の東京マラソンに挑戦!
鈴木氏は現役時代からスポーツ医科学や運動生理学、肉体のメカニズムに関心を持ち勉強をしていたが、これからはさらに本格的に研究、追及をしたいと考えている。 「将来的には大学で勉強したいと考えています。でも今はその前の段階です。大学では、むずかしい言語、専門用語、知識などが必要です。それを理解する基礎を大学に行く前に、しっかり学んでおくべきだと考えています。例えばこの筋肉を動かすにはどうすればいいかというような、体のメカニズム、そしてメンタルのコントロール手法などを今以上に知っておきたいのです」 鈴木氏が目指すのは、日本球界の常識を覆すようなハイブリッドコーチ。つまり野球の技術を教えるだけでなく、トレーナーやフィジカルコーチ、育成コーチ、メンタルコーチの知識までを兼ね備えた新しいスタイルのコーチだ。おそらくそれは前代未聞の指導者像となるし、そのためにも東京マラソンなどへ参加して自らを実験台に視野を広げたいのだ。 「トライアストンもやってみたいし、富士山も登ってみたいのです」とまで言う。 もちろん、今季は野球解説の席にも座る。 「野球解説はしていきたいです。日本シリーズの解説をさせていただきましたが、立場が変わると、“野球ってこんな長いの?疲れるよな”と感じました。試合時間の短縮が叫ばれていますが、その理由がようやくわかりました。でも試合を見ていると、初回からの流れがあって、色々と見えてきます。ベンチで僕はずっと、そういう流れを読みながら野球を見てきましたが、解説席から見ると、さらに視野は広くなります」 その先にあるのは、やはり巨人への恩返しである。 「巨人の伝統というか、チームカラーは、勝つことが当たり前の中で生まれる緊張感であり、その緊張感の中で成長させていだきました。勝つために何をするかを考えて、みんなが自分で動きます。自分で動かなければ結果も出ないという切羽詰まった感、いつも追い込まれているプレッシャーが巨人にはあり、それが自分を叩きあげてくれました。それを僕はモチベーションに変えていきました。それが巨人。悪いときがあっても優勝争いに参加していく。いつも堂々としているんです。それが巨人でした。僕が決められることではありませんが、この巨人への愛着をいつか還元させていただきたい。そういう気持ちで視野を広げたいのです」 心に抱く巨人への熱い思い。 東京マラソンの号砲が鳴る2月26日。長距離の足と短距離の足は違うと言われているが、“神の足”と呼ばれた男は、初挑戦のマラソンでどんな走りを披露してくれるのだろうか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)