「育児は女性が担う」根強い役割意識浮き彫り フルタイム勤務の女性、6割が産後に働き方変更
信濃毎日新聞社は子育て支援アプリを運営するコネヒト(東京)と共同で、インターネットを通じ、全国の母親を対象に子育てしながら働くことに関するアンケートを実施した。フルタイムの正社員として働いていた女性の6割弱が、出産後は時短勤務やパートなどに働き方を変更=グラフ。「育児は女性が担う」という社会に根強い役割意識が、女性の働き方に大きな影響を及ぼしている実態が改めて浮き彫りになった。 【グラフ】正社員(フルタイム)だった女性、出産後の就業形態。フルタイム継続は4割、そのほかは?
アンケートはコネヒトが開発した母親向けアプリ「ママリ」の利用者を対象に昨年9月に実施。2838人が回答した。 出産前の就業形態がフルタイムの正社員だった1123人(産休・育休中を除く)のうち、時短勤務の正社員に変わった人は38%。パート・アルバイトが11%、専業主婦が5%で続いた。その他は求職中2%、自営・フリーランス1%など。出産後の働き方が出産前と同じフルタイムの正社員だった人は42%だった。
一方、国立社会保障・人口問題研究所(東京)の2021年の調査では、夫(45~49歳)の働き方に「正規の職員」が占める割合は81%。学卒直後の82%、結婚を決めた時の85%とほぼ変わらず、同研究所は「結婚や妻の出産で働き方に変化が起きているとは想定できない」とする。
専門家「雇用側の意識も要因」
今回のアンケートでは、出産後にフルタイムの正社員からパート・アルバイトに働き方を変えた人に理由も尋ねた(複数回答)。選択肢のうち「家族と家事育児の分担が難しい」は4割に上った。自由記述には「夫の理解、協力が得られずにパート以外の選択が難しい」「産前のキャリアがなくなった喪失感がある」といった声もあった。
日本総研(東京)上席主任研究員の藤波匠さんは、アンケート結果について「家族の中で育児や家事、介護を担うのは妻という意識が社会に根強い状況を表している」と分析。「育児のために働き方を変えるのは、夫ではなくまず妻」という雇用側の意識も大きな要因になっている―と指摘している。 ◇ 【アンケートについて】 アンケートは、コネヒトが開発・運営する母親向けアプリ「ママリ」の利用者を対象に実施。子育て中または妊娠中の女性2838人から回答を得た。 調査期間:2023年9月2~3日、9~10日 調査方法:インターネット調査 【コネヒト】 「あなたの家族像が実現できる社会をつくる」をビジョンに掲げ、母親向けのアプリ・情報サイト「ママリ」の開発・運営や、子育て包括支援、企業や自治体向けの育休取得支援事業を手がけている。ホームページ https://connehito.com/