８月から一般開放する薬用植物園で観察する酒井副学長（左）ら＝富山大杉谷キャンパス

　富山大は８月、杉谷キャンパス内にある薬学部付属薬用植物園をリニューアルオープンし、通年で一般向けに無料開放する。これまで研究目的で使っており、一般客が入園できるのは、春と秋のイベント時のみだった。全国の大学の薬学部付属植物園としては、最多の約２千種の薬用植物がそろう施設で、県民の「憩いの場」としたい考えだ。 　薬用植物園は１９２３年、同大薬学部の前身である官立富山薬学専門学校の時代に、富山市内の神通川廃川地に設置されたのが始まり。約４５年前に現在地の富山市杉谷に移った。 　主に学生や教職員の実習、研究施設として活用。１００周年を迎えた２０２３年、老朽化のため現在地に移転してから初めてとなる改修工事に踏み切った。 　リニューアルオープンの記念式典を８月１０日に行い、同２０日から平日に無料開放する。一部エリアを除き約４千平方メートルが見学可能となる。漢方薬やハーブで身近なウコン、カモミールなどの標本見本が展示されている屋外エリアには、車いすでも通りやすいよう遊歩道を整備。それぞれの植物の解説はＱＲコードで読み込めるようにし、多くの人に医薬品の基になる植物に親しんでもらう。

　このほか、バニラなど熱帯や亜熱帯地域に主に生育する植物を集めたパーム温室や、湿地植物のエリアなどもある。 　杉谷キャンパス内の富山大付属病院の患者やその家族にも見学してもらい、植物による癒やしを届ける。 　薬用植物園長を務める同大の酒井秀紀副学長は「『くすりの富山』を代表する大学として地域に開かれた場所にするとともに、植物の美しさを楽しめる憩いの場になればいい」と話した。