米国産砂鉄で日本刀作り、福井 古来技法伝授、販路拡大へ
日本刀の原材料である「玉鋼」を生産する古来の技法「たたら製鉄」に取り組む福井県池田町の原義樹さん(52)が、米国産の砂鉄を使って日本刀を作るプロジェクトを立ち上げた。米国でも販売する予定で、日本刀の知名度向上と販路拡大を目指す。根底にあるのは「困窮する刀鍛冶を救い、日本刀の技術を残したい」との思いだ。 たたら製鉄は宮崎駿監督のアニメ映画「もののけ姫」に登場することで知られ、千年以上の伝統がある。砂鉄と木炭を粘土製の炉で燃焼させ、高純度の鉄を生産する製鉄法だ。 転機は昨年2月、知人の刀鍛冶川瀬祐二郎さん(42)が、日本刀作りは時間と手間がかかる割に国内で売れず「やっていけない」と漏らしたことだった。 原さんは海外では人気があることに着目し、たたら製鉄を行う米国人インフルエンサーと組んで「カスケードソードプロジェクト」を立ち上げた。カスケード山脈から採取した砂鉄を送ってもらい製鉄し、詳しい作り方を伝授。今年4月下旬から、できた鋼で川瀬さんが日本刀を作り始めた。今後、米国でオークションにかける予定だ。