手取り「23万円」の残酷…老後もらえる「年金受給額」に刺されるトドメ
65歳以上世帯の「年金受給額」「支出額」はいかに
老後の貯金や支出も気になるところです。厚生労働省「令和4年 年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)」を見ていきましょう。 65歳以上の配偶者あり世帯において、貯蓄額階級別構成割合をみると「100~300万円」が14.0%と最も高く、次いで「700~1,000万円」が11.1%となっています。では、毎月の支出はいくらぐらいになるのでしょうか。 ■支出額状況 配偶者あり世帯の本人及び配偶者の支出額階級(月額)別構成割合をみると、「20~25万円」が23.0%と最も高く、「15~20万円」が21.2%と続きます。支出額(月額)の中央値は21.2万円です。 配偶者なし世帯の本人の支出額階級(月額)別構成割合をみると、男性では「10~15万円」が23.7%と最も高く、「15~20万円」が19.1%と続きます。女性では「10~15万円」が25.3%と最も高く、「5~10万円」が23.1%と続きます。単身者の支出額(月額)の中央値は男性14.3万円、女性12.2万円となっています。 では支出金額に対し、もらっている年金はいくらなのでしょうか。 ■受給状況 公的年金(共済組合の年金、恩給を含む)の年金額階級別構成割合をみると、男性では「200~300万円」が47.4%、「100~200万円」が31.8%となっています。女性では「100~200万円」が37.5%、「75~100万円」が26.7%。男女ともに、年齢が高いほど金額が高くなる傾向がみられます。 ちなみに現役時代、正社員中心だった男性の平均年金額は192.6万円。女性の場合は120.7万円となっています。5年前の調査と比べ、男女ともに20万円ほど減少しました(平成29年調査では、男性208.4万円/女性139.3万円)。
「年金制度が破綻していることは全くありません。」
厚労省のホームページでは「年金は将来、自分たちも本当にもらえるのか?」という不安について回答していました。 “Q.少子高齢化が進行すると、若い世代の年金額は減ってしまうのではないでしょうか? A.年金制度は、5年に一度、健康診断のような形で行う「公的年金の財政検証」によって100年先までの見通しを検証しており、令和元年の財政検証では、若い世代が将来受け取る年金は、経済成長と労働参加が進むケースでは、引き続き、将来の時点で働いている人々の賃金の50%を上回る見込みです。年金制度が破綻している、若い世代は年金を受け取れない、といったことは全くありません。” 一方、厚労省「近年の経済成長率と賃金上昇率の動向 ーバブル崩壊後の直近20年間の動向を中心にー」(2017年)では「賃金上昇率はともにマイナスとなっている」と明確に示されており、「1人当たり賃金は、被用者全体では減少傾向にある」と続いています。都道府県別の最低賃金は上昇の一途をたどっていますが、労働者がその恩恵を受けているとは捉えがたい状況です。 トドメに下記の言葉が記されています。 「過去20年平均でみると、名目経済成長率はプラスとなっているが、労働分配にあたる雇用者報酬やその内訳となる賃金・俸給はマイナスとなっている。」 「将来の時点で働いている人々の賃金の50%を上回る見込み」とは一体、何でしょうか。新NISAを利用した資産運用の推奨などもされていますが、国民の不安を解消する仕組みづくりが求められています。
THE GOLD ONLINE編集部