元つばきファクトリー・岸本ゆめの、初ソロライブで熱唱「人間らしい歌を歌っていける歌手に」
ライブ後半戦、山﨑まさよしの「パンを焼く」を熱唱
ライブに戻ると、岸本は「続いての曲は、私の人生の先輩であり音楽の先輩であり大好きなお友だちの、ヤバイTシャツ屋さんのありぼぼさんに作ってもらった曲です」と声を上げ、「り:すたーと」を披露する。マイナーコードのソリッドなロックチューンに乗って、岸本はかっこいい姿をたっぷりと見せた。 そして、岸本が大きな影響を受けたという山﨑まさよしの「パンを焼く」を歌唱。サイケデリックなファンクグルーヴの中で、存在感のあるボーカルを聴かせる見事なカバーを披露した。 ここで一旦バンドメンバーがステージを捌けると、ステージにひとりになった岸本は「ちょっとだけお話ししたい」と友人とのエピソードを語っていく。「私はアイドルをやってて今は歌をやってます。そんな中で、これから私はどういう風に生きていけばいいかを考えるときがあるんです。これは友だちの話なんですけど、仕事場で小学生みたいな無視とか嫌がらせを受けたりするそうなんですよ。でもその友だちは、私の音楽を応援してくれてて、“あなたの音楽でがんばるよ。だから私を楽しませてね”って言ってくれたんです」 「それを聞いたとき、きっとお客さんもみんなそうなんだろうなって思ったんですよ。これだけ人がいたら、この人数分の楽しいこと、嫌なことがあると思うんです。年齢も趣味もみんなバラバラの人たちがここに集まってるわけですけど、でもここに集まってる時間はみんなに“楽しいな”って思っていただきたいんです」「でも私は、人間関係とかみんなの悩みの根本を解決することはできないんですよ。だからこそ、私の楽しいパワーでみんなの嫌なことを塗りつぶしたいんです。音楽でそれができたら良いなと思ってます」 「みなさん、嫌なことあれば楽しいこともいっぱいあるよね。その楽しいことの中のひとつに、私のライブを入れていただけたらなって。まだライブの途中ですけど、またみんなでこうやって集まって一緒に音楽を楽しめたらうれしいなと思うので、これからもよろしくお願いします!」と、ソロアーティストとしての指針を口にすると、会場から大きな拍手が湧き起こった。 そしてギターを抱え椅子に座った岸本は、弾き語りで「BLUEMOON BLUES」を歌唱する。歌詞には、繰り返すバッドエンドを振り切り希望へと結びつけたいという心情が綴られているのだが、彼女ひとりの表現によって、楽曲のメッセージがよりパーソナルに伝わってきた。 再びバンドメンバーがステージに戻ると、マイクを握った岸本は、アカシックの理姫と奥脇達也が手がけたギターロックナンバー「なぐさめないで」を投下する。熱量高い楽曲を前のめりな姿勢で歌う岸本の姿は、完全にロックスター状態。そして「みなさんクラップお願いします」の声から歌われたのはミディアムテンポの「しあわせはっぴぃ」。観客の作り出すリズムと一体となりながら、彼女は優しい歌声で温かいメロディをしっかりと届けた。 ライブもいよいよラストスパート。「みんなの生活にエールを送りたい、そんな気持ちで歌います」の声から、ライブのタイトルになっている「イチ、ミマン」が披露される。岸本が作詞し、作曲を岸本とmichitomoが手がけた「イチ、ミマン」は、人それぞれの生き方を肯定してくれるミッドチューン。岸本は、人と同じじゃなくても大丈夫と、温かく気持ちに寄り添ってくれるメッセージを笑顔で伝えた。 ラストナンバーは、再びアカシックの理姫と奥脇達也が手がけた「ユーアーアイ」。岸本は、揺れ動く恋の想いをかわいさと大人っぽさを交差させながら心地いいメロディで歌っていく。彼女は観客をしっかり見つめながらにこやかな表情で歌い、間奏ではタップダンスを見せるエンターテイナーぶりも発揮した。そして会場を楽しさと幸福感で満たし、ライブは終了となった。 鳴り止まない拍手に応えてステージに戻った岸本は、「ほんとにありがとうございます!ギターのオンオフのスイッチを踏み忘れたり『イチ、ミマン』なところもありましたけど(笑)、集まってくださったみなさんのおかげで最後までライブをお届けすることができました。これから私の未来も楽しみだなと思ったので、みなさんの未来にもちょっと私もお供させていただけたらなと思いました。今後、またライブとか私が歌う場所に足を運んでいただけたらなと思います。ぜひみなさん、また会いましょう!」と、観客への感謝とこれからの思いを口にして、大きな拍手に包まれる中、最高なピースな空気でライブは締めくくられた。