【本紙ウェビナー】 「代替燃料船の船員育成」、日本海事協会・斎藤氏が解説。全代替燃料対応の包括訓練を
日本海事新聞社は28日、「到来!代替燃料船時代 船員確保と育成」をテーマにウェビナーを開いた。日本海事協会(NK)の斎藤直樹海技部長が船舶燃料の大転換期に「LNG(液化天然ガス)やアンモニア、メタノールなどそれぞれの代替燃料別ではなく、包括的に訓練できる柔軟な方法が必要」と指摘。さらに、海運全体の脱炭素戦略には「(代替燃料船の運航で有利な)液体貨物輸送主力の船舶管理会社と、ドライ貨物輸送主力の船舶管理会社の連携が効果的」と訴えた。 斎藤氏はIMO(国際海事機関)や国際海事団体の推計として、2050年ごろまでの海運の脱炭素のためには「30年代半ばまでに80万人の船員への追加訓練が必要」という試算を紹介。 その上で、「これだけの数の追加訓練は少なくともSTCW条約(船員の訓練・資格証明・当直の基準に関する国際条約)体制の下では経験がなく、大きな危機感を持っている」と語り、受講の機会やインフラ投資の問題に加えて「年齢的な課題もあって対応意欲をなくしてしまう船員が出るなど、船員の奪い合いや不足に陥る恐れがある」と警鐘を鳴らした。 解決手段の一つとして、乗船履歴やバンカリング(燃料供給)経験といった、初期段階では現実的に対応が難しい能力についてはシミュレーターを活用するといった訓練手法やeラーニングの活用について言及した。
日本海事新聞社