インタビュー(1)日本サッカー協会・宮本恒靖会長が語ったパリ五輪とベストメンバー、北中米W杯「目標は決勝。一番上を目指す選手たちを後押ししたい」
■「日本代表チームが強い」ことが不可欠
――会長就任に当たって、“日本サッカーのコンテンツの商業的価値を上げる”ということをキー政策のひとつに上げられました。これは日本代表のことですか。 「日本代表チームが強いという状態が不可欠です。強ければ、人々の話題にのぼるし、メディアにも取り上げられて、また人々の話題につながるという循環になります。面白いデータがあるのですが、JFA登録人口の多い都道府県ほど、日本代表戦のテレビ視聴率が高いそうなんですよ。だから選手や審判員、役員などの登録数の絶対数を増やすことが視聴率につながり、サッカーに関心を持つ人が多い社会につながると思っています」 ――目標は国内だけですか。 「アジアにも、という考えは持っています。アジアにおいて日本サッカーの商業的価値をもっと上げることは可能なのではないか。そして、たとえばの話、これからアジアに出ていこうという企業、パートナーと一緒に取り組んでいくことで、もっと日本サッカーの価値を上げられるのではないかということにもチャレンジしていきたい」 ――サッカーの商業的成功と言えば、現在では世界中から高額の放映権料を集めて多額の資金を得ている欧州のサッカーですが、それに追随しようということでしょうか。 「少し違います。ここ数年間のJFAの収入を見ると、特別なことがなければ、だいたい200億円規模で推移しています。僕はそれを少しずつでも増やしていきたいと考えていますが、それは、プレミアリーグが巨額の放映権収入で潤って、クラブに還元して、クラブが選手の年俸を上げ、巨額の移籍金でスターを獲得するというのとは、目的が違います」
■欧州サッカー「移籍金や年俸の高騰に終わりが…」
――収入を増やすことで、JFAは何を目指すのですか。 「もっと地域への“再投資”を増やすために収入を増やしたい。47都道府県や9地域協会に還元していくことで、地域のサッカーを盛んにしてほしいということです。そこには、地域の社会やスポーツへの“再投資”という意味もあります。地域のサッカーが盛んになることで地域のスポーツ文化が盛り上がります。それは“サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する”という、“JFA2005年宣言”、基本理念にも合致します。社会を良くする力があるから、JFAは“公益財団法人”として認められているのだと思うのです」 ――現在の欧州のサッカーの状況について、どう見ていますか。 「経済面で膨らんでいる、膨らみ過ぎているという印象はあります。今の移籍金や年俸の高騰が、どこかで終わりがくるのではないか。ちょっと危険をはらんでいるように思います」
大住良之
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