老後用の貯金を65歳から切り崩して生活する場合、70歳・75歳時点でどのくらい残っていれば安心でしょうか?
老後の生活費を年金だけではまかなえない場合、不足分は貯金を切り崩して補うことになります。どのくらいの貯金が必要で、どのくらいのペースで使えば安心して生活できるのだろうかと、心配になる人は多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、高齢世帯の平均的な収支をもとに、70歳・75歳時点で必要な貯金の残高を試算します。また、老後の資金を投資で増やす方法とポイントも紹介しますので、参考にしてください。
老後の生活費と年金の収支は平均2万円超の赤字
総務省「家計調査報告家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯の可処分所得と消費支出、黒字額は図表1のとおりです。 【図表1】
総務省「家計調査報告家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」より筆者作成 収支ともに平均的な世帯の場合、夫婦のみ世帯、単身世帯ともに、毎月平均2万円超の赤字収支となる計算です。65歳から貯金を切り崩して生活する場合、毎年24~26万円程度ずつ貯金が減っていくこととなります。 なお、上記は平均額のデータであり、実際にどのくらいの収支になるのかは個々の世帯で異なります。ねんきん定期便などに記載された年金の見込み額や、現在の家計の収支をもとに、老後の収支をシミュレーションしてみましょう。
年金と貯金で生活する場合、70歳・75歳時点で必要な貯金残高は?
図表1の夫婦のみ世帯の平均的なケースでは、毎月の赤字が2万2270円です。65~95歳までの30年間として単純に計算すると、2万2270円×12ヶ月×30年=801万7200円の貯金があれば、不足分をギリギリ補えると考えられます。70歳時点では2万2270円×12ヶ月×25年=668万1000円、75歳時点では2万2270円×12ヶ月×20年=534万4800円が残っていればよい計算です。 ただし、病気やけがなどによる医療費、自宅のリフォーム費用、施設の入居費用など、一度に大きな支出が発生するケースも想定しておかなければなりません。安心して老後の生活を送るには、もう少し上乗せした金額の貯金が必要となるでしょう。