『システム・クラッシャー』©2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG (haftungsbeschränkt), ZDF

　11月8日に発売される『システム・クラッシャー』のBlu-rayの法人特典デザインが公開された。 【写真】『システム・クラッシャー』場面写真（複数あり） 　「システム・クラッシャー」とは、あまりに乱暴なため行く先々で問題を起こし、施設を転々とする制御不能で攻撃的な子供のことを指す隠語。本作は、父親から受けた暴力で手の付けようのない問題児になった9歳の女の子の怒りと悲しみを描く。 　嵐のような9歳の女の子ベニー（ヘレナ・ツェンゲル）。幼少期、父親から受けた暴力的トラウマ（赤ん坊の時に、おむつを顔に押し付けられた）を十字架のように背負い手の付けようのない暴れん坊になる。里親、グループホーム、特別支援学校、どこに行こうと追い出されてしまうベニーの願いはただひとつ。ただママのもとに帰りたいと願うだけ。しかし、精神的に追い詰められた母親のビアンカ（リザ・ハーグマイスター）はベニーに対して強い愛情は持ちながら、どのように接して良いのか皆目見当つかず。自責の念に駆られながらも彼女を施設へ押し付け、ベニーの2人の弟妹の悪いお手本にならないよう遠ざけることだけで精一杯。 　施設職員や医師も何とかベニーを落ち着かせようとあらゆる手段を試みるが、その傷はますます深くなるばかり。どこにも居場所がなくなり解決策もなくなったところに、非行少年相手の更生仕をしている非暴力トレーナーのミヒャ（アルブレヒト・シュッフ）は驚くべき提案をする。ベニーを森の中深くの山小屋に連れて行き、自分と2人きりで過ごす隔離療法を受けさせること。その期間は3週間。施設に一日たりとも落ち着けないようなベニーに対して、ミヒャはどのような秘策を講じ、ベニーを怒りの渦から解放させようとするのか。 　監督・脚本を務めたのは、本作が長編映画デビュー作となったドイツ出身のノラ・フィングシャイト。彼女が「システム・クラッシャー」というテーマに注目したのは、ホームレスのための避難所生活を描いたドキュメンタリーの撮影中、そこで初めて「システム・クラッシャー」と呼ばれる子供がいることを知ったことから。フィングシャイト監督は、教育支援学校、緊急収容センター、児童精神科病棟などの関係者へ綿密な取材を重ね、現場を体験しながら5年間のリサーチを経て脚本を執筆、映画化。監督2作目となる『消えない罪』（2020年／Netflix）では主演にサンドラ・ブロックを迎え、ハリウッドへ進出を果たした。 　主演は、本作でドイツ映画賞主演女優賞を歴代最年少で受賞し、その後、トム・ハンクス主演作『この茫漠たる荒野で』（2020年）にも出演したヘレナ・ツェンゲル。ハリウッド映画デビューにして第78回ゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされ、A24製作の『The Legend of Ochi（原題）』ではウィレム・デフォー、エミリー・ワトソンとの共演が決定し、バラエティ誌の「注目すべき俳優リスト10人」とハリウッド・レポーター誌の「注目すべきヨーロッパの才能リスト10人」にも選ばれた。 　本作は、第69回べルリン国際映画祭におけるワールドプレミア上映で10分間のスタンディング・オベーションを受け、銀熊賞（アルフレード・バウアー賞）とベルリン・モルゲンポスト紙審査員賞の2冠を受賞。ドイツ映画賞では作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞を含む計8部門を受賞した。 　Blu-rayの法人特典として、Amazon.co.jpまたは紀伊國屋書店新宿本店の店頭で購入すると、特製ポストカード2種セットが付属。さらに、Amazon.co.jpではL判ブロマイド3枚セットもついてくる。ポストカードとブロマイドには、それぞれ主人公ベニーの表情が切り取られている。