関学大が富士通に完敗で学生10連敗。アメフット頂上決戦のライスボウル見直し論が急浮上!
大会レギュレーションの見直しを議論
――ライスボウルの終了論。或いは見直し論が高まっています。 「日本選手権が役割を終えたとは思いません。72回を数え、お正月の風物詩として定着したゲームです。今回も関学大側の一塁側の席から真っ先に売れて34000人ものお客さんが来てくれました。学生への期待感があり勝ち負けでないものを見にきてくれています。学生が社会人に挑戦することで日本のフットボールのレベルアップをはかるという狙いがあります。ただ学生が10連敗してしまったことで日本選手権として何が正しいのかを考えるタイミングではあると思います。関学の小野さんからも怪我が心配だとの話がありました。安全性の問題とレベルアップの両面を考えながらゲームの主催者として日本選手権のレギュレーションを考え直したい。日本協会の理事会で議論します」 国吉会長は、ライスボウルの根本的なあり方を見直す考えはなく、ライスボウルの特別ルール導入で実力差の問題を解決したいとの意向を示した。 見直すべきライスボウルのルールは外国人の出場制限と試合時間だ。 Xリーグでは外国人の出場に関しては、NFL(プロ)経験がない選手に限られ、チームの選手登録は4人以内、フィールド出場選手は2人以内と制限が加えられている。ライスボウルもそのルールが適用されている。 国吉会長は「昨年は日大にも外国人選手がいましたし、箱根駅伝や大学ラグビーでも留学生が活躍しています。外国人選手自体に制限をかけるつもりはありません。考えるならオンフィールドの人数でしょう」という私案を述べた。 現在2人以内のフィールド出場選手を一人に制限、或いは、もっと厳しくオフェンス、ディフェンスで一人に制限する方向なのだろう。 また試合時間に関しても甲子園ボウル、ライスボウルでは1Qが15分に設定されているが、Xリーグでは、逆に12分となっている。やはり、これだけフィジカル面で実力差があると、試合時間が長くなればなるほど学生が不利になる。 国吉会長も「ワールドカップなどの国際大会は15分」としながらもライスボウルでの12分制採用に検討の余地があることを明らかにした。 だが、鳥内監督は、外国人のオンフィールド人数の制限案についても、「それをやっても一緒。むこうのラインはオールスターやん。外国人は関係ないでえ」と賛同しない。確かに外国人の出場選手が一人減るくらいでは社会人の大幅な戦力ダウンにはならないだろう。かといって全廃すれば、日本一を決めるというライスボウルの定義からは逸脱する。 また3万4000人のファンを集めている日本選手権の集客力に比例する存在意義についても「3万人? 何いうてんのん。みんな点差が開いて、ぞろぞろ最後は帰ってるやん。こんなん続けていたらファン減るでええ。もう昔みたいに学生同士の試合でええねん」と否定的だった。 実は、日本アメリカンフットボール協会は大会のメインスポンサーであるプルデンシャル生命保険と、3年契約を結んだばかりで、向こう2年は、社会人王者対学生王者の根本的な枠組みは変えられない事情がある。ライスボウル特別ルールの導入で、どこまで、社会人と学生の実力差の是正がなされるのかはわからないが、大会の伝統と、ここでしか見られない高いレベルのフットボールの世界観は維持されるべきだろう。日本アメリカンフットボール協会では理事会で、ライスボウルのレギュレーションの見直しを議論するという。選手の安全面を担保すると同時に白熱のゲームを取り戻すための協議の行方に注目したい。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)