PFAS汚染への取り組みを批判した国連報告書に東京都が削除要求!その反論内容を詳しく検証する
なぜ東京都は公の場で語らないのか
なにより驚くのは、反論文を次のように締めくくっていることだ。 <東京西部の事例を代表的で深刻なものであるかのように伝えることは、地域住民の不安を不必要に煽るものである。したがって、少なくとも東京西部の住民に関する部分を削除するよう求める> 多摩地域での血液検査では791人のうち46%が、アメリカ科学アカデミーが「健康への懸念あり」とする20ナノグラム(血漿1ミリリットル中)を超えていた。 関係者によると、東京都に関連する記述は東京都が執筆したという。全国各地でPFAS汚染が見つかっているのに東京都だけ槍玉に挙げられて世界に発信されるのは承服できない、というのが本音らしい。 科学的なデータに裏付けられた汚染の実態を否定するのであれば、都政をあずかる責任者が堂々と公の場で語るべきではないか。 18日、小池百合子知事は3選出馬にともなう公約発表の場で「多摩の魅力を磨き上げていきます」と語ったものの、その足元で広がるPFAS汚染に触れることはなかった。 筆者:諸永裕司(もろなが・ゆうじ) 1993年に朝日新聞社入社。 週刊朝日、AERA、社会部、特別報道部などに所属。2023年春に退社し、独立。著者に『葬られた夏 追跡・下山事件』(朝日文庫)『ふたつの嘘 沖縄密約1972-2010』(講談社)『消された水汚染』(平凡社)。共編著に『筑紫哲也』(週刊朝日MOOK)、沢木耕太郎氏が02年日韓W杯を描いた『杯〈カップ〉』(朝日新聞社)では編集を担当。アフガニスタン戦争、イラク戦争、安楽死など海外取材も。
諸永裕司