鳥居みゆき、友達との距離感悩んだ高校時代「1000円ずつあげるためにバイト」
「距離を間違えて」友達がぜんぜんできなかった少女時代
少女時代、友達がいなかったそうだ。 「高校3年までいなかった。私、みんなに1000円ずつあげるためにバイトしてたんです。毎月、給料が出た翌朝に早く学校へ行って、みんなの机の上に1000円札を置いていくの。そうすると、その日はみんな私としゃべってくれるから。私はみんなとコミュニケーションとりたかったんですけど、すごくヘタなんですよ。声のボリュームがすごくでかくなっちゃったり、長年の友達にやるようなことを初対面でいきなりやっちゃったり、距離を間違えちゃうから、友達がぜんぜんできなかったんです」 いまもオフになると血糊で作品を創作するという、個性的な趣味の持ち主。 「服を汚したり、シリコンを練って傷をつくったり。いま樹脂粘土とUVレジンを使って、ちょうどいい半球型の眼球ができあがったんで嬉しいんですよ」 そんな個性派らしく、あこがれの女優は岸田今日子だという。 「作家の安部公房さんが好きで、映画化された『砂の女』のDVD持ってるんですけど、岸田さんがものすごく素敵で。私、『砂の女』第2弾があったら絶対出たい!、と思ってるんです」 「砂の女」は、近代日本文学を代表する傑作の一つとされ、勅使河原宏監督で1964年に映画版が公開されている。海辺の砂丘に昆虫採集にやってきた男が、女が一人住む砂穴の家に閉じ込められ、さまざまな手段で脱出を試みる物語だ。 「岸田さんのプロモーションビデオといっても過言ではないくらい、すごく美しくてなまめかしくて怖いんですよ。美しいと怖いって、紙一重だと思う。リバーシブル!」
普通って、なんだろう? 人って生きているからこそ、どこか変
せめて、かわいい店にスイーツを食べに行ったりするぐらいの普通さは、ないのだろうか。 「行きたい! だけど私、友達なんておじさんばっかり。映画のスタッフさんとかと友達になっても、みんなオッサンだもん。今回『モンスター』で共演する山下(容莉枝)さん、素敵な方で、仲よくなれたんですけど、甘いもん食べないんだもん」 鳥居みゆきにスイーツ女子を求めるのは無理があったか。 「でも私、思ったんです。普通って、なんだろうって。人って、生きているからこそやっぱりどこか変なんですよ。みんなコピーロボットじゃないわけですから」 一つ言えることは、自然体。変であろうが変でなかろうが、鳥居みゆきはいつも自分に正直で、自然体だ。 (取材・文・撮影:志和浩司)