鹿児島県警本部長の隠蔽が疑われた元巡査部長23回盗撮事件 「教養研修」効果に被告は固く口閉ざし、公判でも触れられることなく10日判決 鹿児島地裁
トイレに侵入して複数回女性を盗撮したとして、性的姿態撮影処罰法違反(撮影)などの罪に問われた元枕崎署巡査部長の男(33)に、鹿児島地裁は10日、判決を言い渡す。事件は元県警幹部の男(61)=国家公務員法(守秘義務)違反の罪で起訴=が「野川明輝本部長が隠蔽(いんぺい)しようとした」と主張している一つだが、公判では検察側、弁護側双方とも言及していない。元巡査部長は、南日本新聞の4日の取材に一切応じず、犯行を中止した経緯について無言を貫いた。 【写真】鹿児島県警本部長の隠蔽が疑われた元巡査部長23回盗撮事件 「教養研修」効果に被告は固く口閉ざし、公判でも触れられることなく10日判決 鹿児島地裁
8月21日の初公判で、元巡査部長は計23回盗撮したとする起訴内容を認めた。検察側は懲役2年を求刑、弁護側は執行猶予付きの判決を求めて即日結審した。 元巡査部長は被告人質問で「罪悪感もあったが、達成感や高揚感があった」「回数を重ねるうちにまひした」などと述べた。検察側は「被害者の人権を軽視しており、卑劣で悪質。職務中の犯行もあり、警察への信頼を大きく失墜させた」と非難。弁護側は「自ら職を辞し、社会的制裁を受けている上、再発防止策も講じている」などと主張した。 枕崎署は2023年12月下旬、盗撮の疑いがあった元巡査部長を含む全署員に「盗撮」などをテーマにした教養(研修)を実施。県警によると、19年から少なくとも80回盗撮しているが、教養後から逮捕までの4カ月半の間は一度もない。南日本新聞は元巡査部長への取材で「教養を受けたからやめたのか」と問いかけたが、説明はなかった。 起訴状によると、23年3月24日から12月15日までの間、県内の女性用トイレに侵入し、スマートフォンを個室の隙間に差し込むなどして同じ女性を計12回撮影したとされる。同年7月14日から12月2日までの間には、運動施設や商業施設など県内4カ所のトイレで複数の女性を計10回撮影。同年12月23日には、県内の屋外の階段で、女性のスカートにスマートフォンを差し入れ撮影したとしている。
南日本新聞 | 鹿児島