【コラム】「マネーマシン」韓国の道
韓国をめぐり「マネーマシン」と言及したトランプ氏が第47代米国大統領に当選した。金持ちの国だと称賛したと解釈する人はいないだろう。トランプ氏は金のためなら70年の韓米同盟まで揺さぶることができる、骨の髄まで「事業家」だ。「韓国から必ず金を取る」として投げた警告状とみるべきだ。 彼の当選直後、韓国産業通商資源部は3月から米大統領選挙タスクフォースを設けて対策を議論してきたと説明した。産業通商資源部関係者は「通商環境に不確実性が大きくなるほど落ち着いて対応するという戦略を立てた。相手が軽く打てばわれわれも軽く、相手が強く打てばわれわれも強く打つような『ティットフォータット』戦略で状況ごとに合わせて対応する」と話した。 水面下で静かに対策を準備したというので信じてもいいのだろうか。2019年7月の文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に体験した第1次トランプ政権を思い返した。当時トランプ氏は韓国をはじめとする11カ国を狙って「世界貿易機関(WTO)の開発途上国優遇を受けられないようにすべき」と警告した。韓国が受ける農産物関税優遇が減るかもしれないとの懸念が出てきた。 農林畜産食品部は「関税縮小除外は10年以上国際議論が中断され実現の可能性が低い。関税率は米国との2国間で変えることはできず、WTO加盟国間の合意を経なければならない」と主張した。要約すれば「トランプ氏の言う通りになるわけがない」という意志の表現だ。結果はどうだろうか。3カ月ぶりの降伏だった。韓国政府は同年10月、WTOの開発途上国の地位を放棄した。 政府だけ信じていたら不意打ちを食らいかねない。第1次トランプ政権当時の失策を繰り返さないようにするなら、「そうなるわけがない」という生半可な希望、「この程度なら十分だ」水準の安易な対応からもう1歩踏み出さなければならない。やりとりするものがあってこその取引だ。第2次トランプ政権の通商対策の核心は産業競争力を備えることだ。トランプ氏が当選直後に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と12分にわたり電話で話し韓国の造船業に手を伸ばしたのも技術力のためだ。トランプ政権で韓国の半導体と自動車産業は厳しくなるという見通しもよく調べれば取引優位に立てるほどの圧倒的な競争力がないためだ。 マネーマシンの悲しさは引っ込めよう。韓国サムスン電子、台湾TSMC、オランダASMLなどの企業が強小国の国家競争力の時代だ。政府と企業が一致協力して産業競争力を積むならば価値は自然に上がる。大統領がトランプ氏と仲良くするためにゴルフを練習することも必要だ。だが取引では「プラスアルファ」にすぎない。トランプ氏が夢中になるほどの手札もなくゴルフクラブから手にすることはないよう望む。 キム・ギファン/経済部記者