大野拓朗「普通のミュージカル以上にプレッシャーがあった」 「進撃の巨人」-the Musical-で再びエルヴィン役に挑む【インタビュー】
大野拓朗「普通のミュージカル以上にプレッシャーがあった」 「進撃の巨人」-the Musical-で再びエルヴィン役に挑む【インタビュー】 2/2
-本作で描かれているのは、物語の冒頭部分のお話ですが、原作は完結しており、物語は大きく展開していきます。役作りをする上で、大野さんはどの辺りまでその後のストーリーを意識されていたのですか。 全部です。この舞台では冒頭だけを描いていますが、エルヴィンの行動原理や人間性というものは、原作を最後まで見た上で作り上げていきたいと思って演じました。謎がたくさんあって、段々とその謎が解明され、たくさんの考察が生まれるというのが「進撃の巨人」の魅力だと思いますが、エルヴィンについても物語が進むことで解明されていくことがたくさんあります。つまり、エルヴィンが胸に秘めている思いをファンの方たちは知っているわけです。このミュージカルでは、物語上、そうしたエルヴィンの思いは表面には出ていないでしょうが、全てを踏襲して演じたいと思いましたし、そうするべきだと思って演じました。 -再演に当たっては、どのようなところをより深めていきたいですか。 演技プランは変えないようにしようと思っています。初演時に、これ以上ないくらい研究できている自負があるので、演技プランに関しては変えないことがエルヴィンに対する敬意だと思っています。ただ、よりカリスマ性や威厳、説得力をつけるための体作りをしていきたいです。また、アニメの(エルヴィン役の声優の)小野大輔さんのような深い、威厳のある、渋い声を出せるように特訓して、近づけていけたらと思います。 -10月11日からはニューヨーク公演が開幕します。大野さんは以前、ニューヨークに留学していたこともあり、よくご存じの街だと思いますが、日本のオリジナル作品をニューヨークで上演することに対してはどのような思いがありますか。 「進撃の巨人」は、壁の中に全ての人類が集まった、人種の入り混じった世界を舞台としています。なので、さまざまな人種の人間が登場するのですが、物語の中ではとても“ジャパンソウル”を感じるんですよ。幕末に自分たちの力で世界を変えていくんだという熱い思いを持っていた志士に通じる大和魂を感じます。そういう意味で、日本人にしか作れない物語だという思いもあります。ニューヨークは、エンターテインメントでは世界トップの場所です。ですが、この「進撃の巨人」-the Musical-に関しては、僕たちが世界で一番、この作品を表現できるチームだと思っています。ニューヨークのお客さんや世界中の「進撃の巨人」ファンの方々、そしてニューヨークにいらっしゃる日本人の皆さんにお届けできるのが楽しみです。 -ニューヨークに留学されたことが今回の公演に生きると思いますか。 ステージに上がるという意味では、日本でもニューヨークでも変わりません。まして、今回は日本語で日本人のキャストの皆さんと一緒に上演するわけですから。ただ、通訳ができるので、そこは役立つかな(笑)。英語があまり得意ではないというスタッフやキャストの方もいらっしゃると思うので、そういう点でのケアを率先してやりたいと思っています。この公演を行うニューヨークシティセンターの周りは、僕がずっと滞在していたところなので土地勘もありますし、僕にとっては慣れた環境です。きっとキャスト、スタッフの皆さんは見知らぬ土地で、ストレスも感じると思いますので、できるケアをしていけたらと思います。 -公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。 初演はおかげさまで大好評いただきまして、見られなかったというお声もたくさんいただきました。今回こそは悔いなきよう、ぜひ足を運んでいただけたらと思います。まずはニューヨーク公演からスタートしますが、ニューヨークでの経験がきっと大きなものになって、さらに成長できるのではないかと思います。そうした壮大な経験を経て、東京、大阪公演ではよりパワーアップしたものをお届けできると思います。世界最高峰の「進撃の巨人」-the Musical-の世界に没入しに劇場にいらしていただけたら幸いです。 (取材・文・写真/嶋田真己) 「進撃の巨人」-the Musical-は、10月11日~13日にニューヨークシティセンター、12月13日~22日に都内・TOKYO DOME CITY HALL、2025年1月11日~13日に大阪・オリックス劇場で上演。 (キャラビジュアル&メインビジュアル) 「進撃の巨人」-the Musical- (C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」-the Musical-製作委員会2024