決選迫るイラン大統領選、ヒジャブも争点 警察の取り締まりめぐり
5日に決選投票が迫るイラン大統領選で、女性が髪を隠す布「ヒジャブ」をめぐる候補者2人の論争が注目されている。大規模デモの発端にもなった着用取り締まりについて改革派の候補は反対し、保守強硬派の候補は賛成。有権者の間でも意見が割れている。 【動画】吹き飛ばされた子どもたちはハマスなのか 絶望の街ガザからの報告 イスラム教を国教とするイランでは、女性はヒジャブで髪の毛を隠すことが法律で義務づけられ、違反すれば罰金刑や禁錮刑が科される可能性がある。未着用の女性が風紀警察の車両に連行される場面とみられる映像がSNSに投稿されてきた。強制には反対論が根強い一方、着用自体は敬虔(けいけん)さを示す意味もあり、自発的にかぶる女性も多い。 「(大統領に当選したら)政府全体が強制的なパトロールに立ち向かうことを保証する」。6月28日の大統領選で首位の票を得たが、当選に必要な過半数には届かず、決選投票に臨む改革派のペゼシュキアン元保健相(69)は先月末、X(旧ツイッター)にこう投稿した。 「パトロール」はヒジャブの未着用を取り締まるため街頭で活動する風紀警察を指し、投稿はこれに反対する姿勢を示したものだ。投稿は190万回表示され、1万7千件の「いいね」が付いた。 イランの英字紙テヘラン・タイムズによると、ペゼシュキアン氏はこれまでも、「女性を辱めている」として風紀警察の活動に強く反対する考えを示している。 一方、保守強硬派から決選投票に進んだジャリリ元最高安全保障委員会事務局長(58)は、風紀警察は法律を執行しているとして支持。6月の候補者討論番組では、ヒジャブについて「女性が最も良い状態で(社会における)役割を果たすことができる」と述べ、着用義務に賛成する考えを示した。
朝日新聞社