明治神宮春の大祭で神余のかっこ舞(館山)奉納(千葉県)
今年復活50周年を迎える館山市指定の無形民俗文化財「神余日吉神社のかっこ舞」が3日、東京都渋谷区の明治神宮春の大祭で奉納された。大勢の参拝者らが見守る中、神余かっこ舞保存会会員らが舞台に立ち、伝統の舞を演じた。 神余地区のかっこ舞は、雨乞いと五穀豊穣(ほうじょう)を願う神事で平成8年に同市の無形民俗文化財に指定。獅子頭をかぶった3人の男子が腰に着けた太鼓を打ち鳴らし踊り、雨を表す7色の紙を垂らした花がさをかぶった4人の女子が、カエルの鳴き声や風で揺れる竹の音を表す「ササラ」を鳴らす。 これまで幾度となく中断されてきたが、昭和49年に地元高校生で構成される「あすなろ会」により復活。今年で復活50周年を迎える。 同地区では、節目の年に「神余かっこ舞復興50周年実行委員会」を組織、さまざまな記念事業を企画している。春の大祭での奉納もこの一環で、地元の明治神宮崇敬会館山地区の推薦で実現した。 この日一行は、明治神宮の第二鳥居(大鳥居)前の特設舞台で舞を披露。獅子役とササラ役を地元の10代、20代が務めた。大太鼓や笛師など総勢約30人で演舞。太鼓と笛の響きに合わせた勇壮で、優雅な舞で参拝者らを魅了した。館山からも森正一市長はじめ地域住民や神余小児童ら約160人が会場に足を運んだ。 獅子役を演じた大木戸龍之介さん(19)は「明治神宮で踊る機会なんてめったにない。機会を与えてくれた地域の人には感謝したい」、弟で獅子役の幸之助さん(18)は「地域の期待に応えるべく精いっぱい踊ることができた」とはつらつとした表情だった。 同実行委員会の加藤一芳実行委員長(52)は「無事に奉納できて今はほッとしてる。子どもたちはコロナ禍で祭りができなかったり、大変な思いをしていた分、力いっぱいかっこ舞を奉納できたと思う」と安堵(あんど)した様子だった。