上半期の移住者は過去最多、平井知事「若者・女性に選ばれる鳥取県」目指す…巳年は「ヘビーな年」に
鳥取県内の地域活性化や治安維持、観光振興などに、各界のトップはどのように取り組むのか。2025年の展望や期待を聞いた。
――様々な出来事があった昨年を振り返って。
ねんりんピックは県民の絶大な支援のおかげ。県人口より多い延べ約54万人が参加し、交流できたことなど収穫があった。石破首相の誕生は大きなニュースだった。山陰をよくわかっている人が政策を作り、実行するのは大きい。能登半島地震を受け、防災対策に力を入れた。今年も充実させる。大きな動きのある年だった。
――人口減少に歯止めがかからない状況が続く。
対策として移住、定住を呼びかけている。月刊誌の「住みたい田舎」で琴浦町がランクインするなど、今年度上半期の移住者は過去最多の1054人に上った。一方で、学生のUターン率は下がっている。若者や女性に選ばれる地域を目指していく。
――不適切な選挙ポスターの掲示を規制する条例制定など全国初の取り組みが目立った。
小さなコミュニティーだからこそ県民の政治参画の重要性を痛感する。ポスター掲示を巡って公職選挙法を守らなくてもいいという風潮が生まれたのは憂慮すべきで、大切な地方自治を守るために声を上げる必要があると考えた。
虚偽事項の公表や暴力的な脅迫など、時代が変わってきたと感じる。国全体の問題だが、選挙を管理・監督する当局もかぶとの緒を締めて向き合う。公選法を順守し、神聖な選挙という土俵が壊されないようスタートを切った。
――生成AI(人工知能)の活用など先端技術の試みは今後どのような展開を。
フェイク情報を監視する実証チームを昨年、発足させた。誤った情報は災害や疫病など社会不安の時ほど早く、強烈なインパクトで広がる。正しい判断のできる環境を整えることが大切で、県民にも情報選別能力が求められる。
地域の人たちの考えを集約して意思決定する。芯のしっかりした民主主義や地方自治を作るため、工夫の余地はまだまだある。
――鳥取県にとってどんな年にしたいか。
人口減少に歯止めをかける改革の元年にする。職員の働き方改革など県庁としてできることをモデル的に実施する。海外情勢が不安定な中、激動の年になると思う。経済や雇用、県民の暮らしを守るためのかじ取りは難しいが、県民の声を吸収し、小回りを利かして機動的に政策を投入する。ヘビ年だけに「ヘビーな年」になるだろう。 (聞き手・山内浩平)
ひらい・しんじ 1961年、東京都生まれ。自治省(現・総務省)に入省し、県総務部長、副知事を経て2007年の知事選で初当選。現在5期目。23年に全国知事会長を退き、現在は副会長を務める。趣味は山登りで、鹿の生息地がわかるようになってきた。「鳥取は自然を体で感じながら暮らすことのできる土地だと実感する」という。