あまりに恐ろしい…巨大地震が「連続発生」する「半割れ」の恐怖
2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。 【写真】日本人が青ざめる…突然命を奪う大災害「最悪すぎるシミュレーション」 しかしながら、これから起きうる大きな自然災害(首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火)について本当の意味で防災意識を持っている人はどれほどいるだろうか。 もはや誰もが大地震から逃れられない時代、10刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。 (※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)
「半割れ」の恐怖
未曽有の「国難」をもたらす南海トラフ巨大地震で、最も警戒が必要とされるのは「半割れ」だ。 想定震源域の東側と西側が別々にずれ動き、震度7級の巨大地震が連続して襲来することが懸念されている。 一度の発生だけでも甚大な被害が生じるレベルとなるが、それが立て続けに発生すれば日本全体へのダメージは計り知れない。 だが、地震列島・日本では「半割れ」が歴史的に繰り返されているのだ。
「半割れ」が続く南海トラフ地震
想定震源域が一気にずれ動くケースは「全割れ」と呼ばれ、今から300年ほど前の1707年に起きた「宝永地震」が当てはまる。 南海トラフから西日本の下に沈み込むフィリピン海プレートと、西南にある陸のプレートとの境界が大きくずれ動き、遠州灘から四国までの沖合を震源に推定M8.6の巨大地震が発生した。 政府の推計によれば、死者は2万人超で全壊・流失家屋は7万軒以上、壊れた堤防の合計長は800キロに達したとされる。 だが、それ以降に南海トラフで発生した巨大地震は「半割れ」が続く。1854年に「安政東海地震」(M8.4)が起きると、その30時間後には「安政南海地震」(M8.4)が発生。 終戦前後には1944年の「昭和東南海地震」(M7.9)と、1946年の「昭和南海地震」(M8.0)が起きた。M8級の巨大地震が一度で終わらず、「30時間後」と「2年後」に再び襲っている。 2019年5月に政府が公表した「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」は、南海トラフ巨大地震を次のように表現している。 「我が国で発生する最大級の地震であり、その大きな特徴として、(1)極めて広域にわたり、強い揺れと巨大な津波が発生すること、(2)津波の到達時間が極めて短い地域が存在すること、(3)時間差をおいて複数の巨大地震が発生する可能性があること、(4)これらのことから、その被害は広域かつ甚大となること、(5)南海トラフ巨大地震となった場合には、被災の範囲は超広域にわたり、その被害はこれまで想定されてきた地震とは全く様相が異なると考えられること等が挙げられる」。 政府の想定によれば、「西側の半割れ」では四国や近畿、九州で震度7を記録し、関東や静岡でも震度3~4が観測される。一方の「東側の半割れ」は愛知や静岡、三重で震度7の激しい揺れが生じ、関東甲信や近畿でも震度6強や6弱の強い揺れが起きる。 この「連続発生」の間隔がどの程度になるのかは不明だが、もしも東西で連発することがあれば想定を上回る被害が日本全体で生じるのは間違いない。 基本計画は「南海トラフ巨大地震では、地震の揺れとそれに伴う火災による建物等の被害が、これまでの記録に残る地震災害とは次元の異なる甚大な規模であり、救助・救急活動、避難者への対応、経済全体への影響など、対応を誤れば、社会の破綻を招きかねないため、人的・物的両面にわたって、被害の絶対量を減らすという観点から、事前防災の取組が極めて重要である」としている。 つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。
宮地 美陽子(東京都知事政務担当特別秘書)