【香港】医薬品の承認簡略化、11月から対象拡大
香港政府衛生署は25日、香港での医薬品登録で域外当局による承認を1カ所しか求めない「1+」方式の対象を、11月1日から全ての新薬に拡大すると発表した。ワクチンのほか、細胞・遺伝子治療を含む先端治療薬なども対象になる。 「1+」方式では、香港での臨床データによる裏付けと専門家の認可を受けられれば、従来は域外の規制当局2カ所の承認が必要だったところ、1カ所からの承認のみで香港での登録が可能になる。昨年11月から、難病・希少疾患用の新薬のみを対象に「1+」方式が認められていた。新方式の導入以来、海外や中国本土の製薬会社を含む80社以上から260件余りの問い合わせがあったという。 新方式で承認された新薬はこれまでに5種類で、内訳は◇転移性大腸がん向け新薬=2種類◇発作性夜間ヘモグロビン尿症向け新薬=1種類◇副甲状腺がん患者と原発性副甲状腺機能亢進(こうしん)症の特定患者の高カルシウム血症向け新薬=2種類――となっている。 政府医務衛生局の盧寵茂局長は26日、対象拡大により、中国広東省の珠江デルタ9市と香港、マカオで形成する一大経済圏「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」全体の医療水準が上昇するとの見方を示した。医薬品の選択肢が広がれば新しい治療や医薬品、先端治療関連製品の価格も下がる見通しで、加えて大湾区全体の研究開発(R&D)の発展も促されると指摘した。