岸田首相は支持率アップを期待していなかった?「不発」だった内閣改造 改めて分析したら見えてきた「内向き人事」の実態・データで読み解く政治(3)
▽初入閣は11人。にじむ「待機組」への配慮 今回の内閣でもう一つの特色として、初入閣が11人に上ったことが挙げられる。閣僚ポストの半数以上だ。 初入閣が多ければ、政権は人心一新をよりアピールできる。党内からも、改造前に「女性や若手の登用で刷新感を打ち出してほしい」(自民党ベテラン)との声が出ていた。 11人は、2012年以降の自公内閣の中でも多い。最多は2019年発足の第4次安倍再改造内閣と、2021年の第1次岸田内閣の13人。2018年の第4次安倍改造内閣が12人で、11人はこれに次ぐ。 菅義偉前首相も初入閣の多さを評価している。9月19日、メディアの取材にこう語った。「女性閣僚が5人で過去最多と同じだが、初入閣が11人いたこともさらに特記すべきことだ」。ちなみに、2020年に発足した菅内閣の初入閣は5人、女性閣僚は2人だった。 一方、初入閣させることは、派閥などの要望に応えて「入閣待機組」へポストを割り振るという内向きの側面もある。自民党における入閣の目安は衆院当選5回、参院当選3回以上と言われる。目安以上の当選を重ねても閣僚になったことがない人は、待機組とされる。
今回、初入閣した閣僚のうち、待機組に該当しないのは衆院当選3回の加藤鮎子こども政策担当相、参院当選2回の自見英子地方創生担当相の2人。第1次岸田内閣では4人だった。今回は待機組への配慮が色濃いと言ってもいいだろう。 こうした状況もあったからか、衆院議員の平均当選回数は7・4回と、2021年の岸田政権発足後で最も多くなった。 ▽70代は20人のうち7人。2012年以降で「最高齢」内閣に ここまで振り返ってみると、冒頭の公明党・山口代表の指摘通り、今回の内閣改造は党内向けに傾いた感がある。 そんな「内向き人事」は、結果的に閣僚の平均年齢を高めた。発足時で計算すると、首相を含めた20人の平均年齢は63・5歳。前回の62・7歳から上昇した。2012年以降の自公政権における比較では、2018年の第4次安倍改造内閣の63・4歳を超えて最も高くなった。 今回の最高齢は武見敬三厚生労働相、斉藤鉄夫国土交通相、土屋品子復興相の71歳。最も若かったのは加藤鮎子こども政策担当相の44歳だった。