現時点での最高傑作。キ上の空論『除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。』獣三作 二作め
キ上の空論による「『除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。』獣三作 二作め」が5月9日(木)よりシアタートップスにて上演される。 「『除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。』獣三作 二作め」キャスト写真 2013年に中島庸介により旗揚げされ、昨年10周年を迎えた演劇ユニット「キ上の空論」。何気ない会話の中にある毒と傷、滑稽な人々の生活を描き続けてきた。 そんな彼らは、今年タイトルに「けもの/ケモノ/獣」を入れ、「獣」をテーマに全く違った物語を描く「獣三作」の上演を行っている。3月には紀伊國屋ホールで「一作め」となる『けもののおとこ』を上演したばかり。この作品では、シングルファーザーとして“女に選ばれる男”になるよう自分を育ててきた父親を内心で見下す主人公が、父の「一番いい女を選ぶ、他は捨てる」という言葉のとおりに周りの女性と関係しては捨てていく姿を描いた。 今回の『除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。』では、かつて引きこもっていた経験があり、いまは“寝取られ”の性癖をもつ夫婦やカップルとSNSを通じて出会い、公認で依頼者のパートナーと関係を結ぶ男・正木円治(まさきえんじ)と、そんな円治に精子提供という名の“孕ませ”の依頼をする星野夫妻を描く。 中島によれば、「タブーを切り捨てるのはなんか違うだろうと思い、目を背けたくなるようなシーンも決心して描きました」「みんな身勝手な人達だし、個人的には大嫌いな人達なんだけど、どこか愛おしく思ってしまう」という今作。そんな中島が「全身全霊で取り組んでくれる俳優たち」と信頼を寄せたキャスト陣には、声優としての活動でも注目を集める藤原祐規のほか、個性的な面々が顔を揃える。 中島が「今、僕ができる最高傑作」と胸を張るこの作品がどのように人間の正義と葛藤を描くのか、楽しみにしたい。 なお、「三作め」となる『緑園にて祈るその子が獣』は9月、本多劇場にて上演予定。 文:釣木文恵 <公演情報> キ上の空論 獣三作 二作め『除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。』 作・演出:中島庸介(キ上の空論) 出演: 藤原祐規 松原怜香 田名瀬偉年 板場充樹 小町実乃梨 山口快士 小野塚渉悟 平野紗貴 家入健都 南出めぐみ 藍澤慶子 2024年5月9日(木)~5月19日(日) 会場:東京・新宿シアタートップス