【数千万円の預金は藪の中】相続財産はヒョロ長い空き地1つだけ!? 遺言書は遺産の詳細記載なし…「むしろ、税務調査を頼む」50代相続人が切望する、驚愕の相続トラブル
相続税の申告、姉とは別に行うべき理由
相続税の申告は、相続人全員でするのが一般的ですが、別々に申告をすることもできます。つまり、佐藤さんと妻、そして姉は、別の申告書を出せるのです。その場合、1人の被相続人の相続税において、2種類の申告書が税務署に提出されることになります。 それぞれが同じ情報であれば問題はないのですが、情報共有ができず、意思疎通もできないとなると、内容もピッタリ同じにはなりません。 その場合、税務調査で内容をすり合わせていくことになります。 今回のように、母親の金融資産の残高も明細もわからない場合、あえて別々に申告し、税務調査で内容を明らかにしてもらうほうがよいといえます。むしろ、いままでわからなかった預金の流れが明らかになるなら、税務調査は歓迎といえるでしょう。 この説明に佐藤さんは何度もうなずきました。 「やけくそで放置していたら、大変なリスクを背負い込むところでした。むしろ積極的に税務調査をお願いしたいです」
恐ろしい…相続税の「連帯納付責任」とは?
相続税には「各相続人がお互いに連帯して納付しなければならない」という相続税法上のルールがあります。つまり、ほかの相続人が相続税を収めていない場合、たとえ自分が納めていたとしても、納めていない相続人の代わりに相続税を収める可能性があるということです。 佐藤さんの母親の場合、不動産より金融資産のほうが多いと思われます。佐藤さんが自分の相続税だけ払ったとしても、姉が相続税を払わなければ、全財産に見合った相続税が佐藤さんにも課税され、納税する義務が生じます。また、金融資産が基礎控除以内まで減っていたとしても、特別受益や財産の持ち戻しによって相続財産と認定されれば、相続税の納税義務が発生する可能性もあります。 いずれにしろ、相続税は相続人全員の連帯責任となりますので、相続財産の確定が必須なのです。 意思の疎通が図れる関係の相続人同士でも、相続税の申告や相続手続きは大変です。佐藤さんご夫婦の場合は、意思疎通を図ろうとしない姉との関係があり、さらに複雑な思いを抱えている状況です。しかし、それでも義務となる申告や納税は必須です。最後までしっかりと詰めておかないと、後から大変な事態になりかねないため、十分な注意が必要なのです。 ※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子
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